最新記事

感染症対策

緊急事態宣言、悪化している日本経済に5兆円の損失 巨額対策は十分か

2020年4月7日(火)19時56分

安倍晋三首相が7日に発令した緊急事態宣言は、すでに悪化している経済をさらに5兆円程度下押ししそうだ。 写真は3月7日、東京銀座で撮影(2020年 ロイター/Stoyan Nenov)

倍晋三首相が7日に発令した緊急事態宣言は、すでに悪化している経済をさらに5兆円程度下押ししそうだ。同じ日に閣議決定された緊急経済対策は首相の決断で財政支出40兆円程度と過去に例を見ない大型対策となったが、昨年秋以降の景気悪化に続き、4─6月期のGDPは2桁のマイナスも予想され、経済の落ち込みをどこまで下支えできるか不透明だ。

GDP喪失分を取り戻せるか

緊急事態宣言の対象は東京都など7都府県。その経済規模は国内総生産(GDP)のおよそ半分を占める。

欧州でのロックダウン(都市封鎖)のように経済活動を強制的に停止するわけではないため、強烈な経済萎縮には至らないものの、レジャーやサービスを中心に個人消費が一段と落ち込むのは避けられない。企業も設備投資の先送りか、停止を余儀なくされることは必至だ。

ニッセイ基礎研究所矢島康次チーフエコノミストは「1カ月間の実施を想定すれば、GDPは約5.7兆円、年間1.04%程度減少する計算となる」とみている。

大和証券チーフマーケットエコノミストの岩下真理氏も、同様に約5兆円程度のGDP押し下げを見込み、4-6月期の個人消費は前期比2─3%程度の落ち込みとなると予想している。

すでに昨年の消費増税により10─12月期に8兆円の需要不足が発生しており、今年1─3月以降はコロナウイルスによる世界経済の減速や国内自粛による需要の蒸発で、需要不足はそれ以上に拡大するとみられている。

JPモルガン証券チーフエコノミストの鵜飼博史氏は4─6月に年率17%のGDP減少を予測している。

こうした状況で経済を元の軌道に戻すには、それに匹敵する対策で穴埋めする必要がある。今回の経済対策規模はかつてない規模で、数字上は穴埋めも可能なように見える。

農林中央金庫の南武志・主席研究員「規模を見れば、諸外国に引けを取らない規模となった」とするが、「感染拡大はまだ序の口だとすれば楽観視すべきでない」と指摘する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米軍がホルムズ海峡封鎖へ、イランは交渉に戻る見通し

ワールド

ロシア・ウクライナ復活祭停戦、発効数時間で双方が違

ワールド

米イラン協議決裂、核・ホルムズ海峡で溝埋まらず 停

ワールド

中国、台湾向け観光規制緩和など新措置 野党党首訪中
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    新しいアメリカンドリームは「国外移住」...5人に1人が海外を希望する時代
  • 2
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相場で人気の優良株から売られる落とし穴
  • 3
    健康を守るはずのサプリが癌細胞を助ける? 思いがけない副作用に研究者が警鐘
  • 4
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 5
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 6
    中国が恐れる「経済ドミノ」
  • 7
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 8
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 9
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 10
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 8
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中