最新記事

ドイツ

ドイツ政府「アーティストは必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要なのだ」大規模支援

2020年3月30日(月)18時30分
モーゲンスタン陽子

距離をとってメディア対応するメルケル首相 Michel Kappeler/Pool via REUTERS

<ドイツの救済パッケージでとくに注目を集めているのが、フリーランサーや芸術家、個人業者への支援だ。文化相は「アーティストは今、生命維持に必要不可欠な存在」と断言した......>

25日、新型コロナウイルスによる経済への打撃を緩和するための総額7500億ユーロの財政パッケージがドイツ連邦議会で承認された。長年の財政均衡主義を改め、憲法で定められている借り入れ制限を一時停止、1560億ユーロの新規国債を発行する。さらに株式購入や企業への融資提供目的で設立するドイツ復興金融公庫が、必要に応じ最大2000億ユーロの債券を発行する。

ドイツの救済パッケージでとくに注目を集めているのが、フリーランサーや芸術家、個人業者への支援だ。モニカ・グリュッタース文化相は「アーティストは今、生命維持に必要不可欠な存在」と断言。大幅なサポートを約束した。

英米と比べてもかなりの規模

ドイツには約300万人の個人または自営の小規模起業家がおり、その半分近くが文化セクターで働いている。昨今続くイベントのキャンセルは8万件以上にのぼり、引き起こされた損害は12.5億ユーロと推定されている。フリーランスやアーティストへの経済的支援を求める嘆願書への署名運動が今月から始まっていたが、このほど発表された財政パッケージには個人・自営業者向けの支援として最大500億ユーロが含まれている。

これは、イングランドの芸術評議会が24日に発表した1億6千万ポンドの支援や、ニューヨークのメトロポリタン美術館が政府に求めている米国の美術館への40億ドルの救済措置と比べても、かなりの規模であることがわかる。

3部構成のパッケージは助成金やローンの形で提供されるが、芸術関連の個人や組織に加えて、資金は新聞などのメディアも対象となる。ローンの申請はすでに開始されている。個人の自営業者(従業員のいない自営業者)、個人のアーティスト、および最大5人の従業員を持つ中小企業は3か月間、最大9,000ユーロの一括払いを受け取ることができる。従業員最大10人までの場合、3か月間15,000ユーロまでの一括払いを受け取ることができる。

助成金に加えて、失業保険を含む社会保障も、4月から10月の 6ヶ月間、個人やフリーランサーが利用できるようになる。これはとくに家賃を払えない場合の立ち退きからテナントを保護することが目的で、「誰もが安心して自分の家に滞在できるようにする」ために、政府はさらに100億ユーロの支援を注入する。返済も延期される可能性があり、個人は税務局に減税を求めることもできる。

「助成金は一度取得すれば返済する必要はない」とグリュッタースは強調。連邦政府の援助パッケージにより、音楽家も画家も作家も、映画・音楽関係者や書店・ギャラリー・出版社も、誰もが生き残ることを望んでいると述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ルビオ氏、ウ大統領の発言「うそ」 ドンバス割譲と安

ビジネス

米ミシガン大消費者信頼感3月確報、53.3に低下 

ビジネス

ドル160円台に上昇、2024年7月以来初 介入警

ワールド

G7でキューバ情勢協議、海上封鎖は存在せず=米国務
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊張緩和の兆しか
  • 3
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思われるドローンの攻撃を受け大炎上
  • 4
    「俺たちはただの人間だ」――BTSが新アルバム『ARIRAN…
  • 5
    日本経済にとって、円高/円安はどちらが「お得」な…
  • 6
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 7
    親の遺産はもう当てにできない? ベビーブーム世代…
  • 8
    ニュースでよく聞く「東京外国為替市場」は、実際は…
  • 9
    アメリカのストーカー対策、日本との違いを考える
  • 10
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 3
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 4
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 7
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 8
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 9
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 10
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中