最新記事
日本社会

新型コロナは日本の社会変革をうながす「黒船」なのか

2020年3月11日(水)16時30分
舞田敏彦(教育社会学者)

感染拡大のさなかでも、満員電車での通勤は続いているが…… Athit Perawongmetha-REUTERS

<感染対策によって、テレワーク、オンライン授業、遠隔医療といった社会変革が着実に実行されつつある>

新型コロナウイルスの感染拡大が懸念され、1つの場所に大勢の人が集まるのはよくないことから、全国の学校が休校し、コンサート等のイベントも軒並み中止となっている。東京オリンピック・パラリンピック中止の可能性も取り沙汰されている。

しかし、そんな中でも長時間にわたる満員電車での通勤は続けられている。狭い車両に多数の人が押し込められ、窓に顔を押し付けている様子は、海外の人にはクレイジーとしか思えない。感染症が懸念される現状では、なおさらだ。日本は感染症の広がりやすい社会なのではないか、と言われても仕方ないだろう。

こうした通勤地獄は都市部で多い。筆者が住んでいる神奈川県のデータを見ると、雇用労働者の片道通勤時間の中央値は48.8分で、全体の34.7%が60分(1時間)以上となっている。90分以上の長時間通勤者も9.0%いる(総務省『住宅土地統計』2018年)。

県よりも細かく区市町村別に見ると、もっと高い数値も出てくる。<図1>は、首都圏(1都3県)の区市町村の中央値を地図に落としたものだ。データが得られる211区市町村を、4つの階級で塗り分けている。

data200311-chart01.png

東京都心に白色があり、郊外に行くほど色が濃くなっていく。小学校の社会科で習った「ドーナツ化現象」の模様が見事に描かれている。

最も高いのは神奈川県逗子市(62.4分)で、2位は横浜市青葉区(61.2分)、3位は千葉県我孫子市(60.9分)だ。逗子市では過半数が1時間以上で、2割が90分以上となっている。三浦半島の付け根から東京都心までだと、これくらいはかかるのだろう。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏、8月下旬から少なくとも8200万ドルの

ビジネス

クーグラー元FRB理事、辞任前に倫理規定に抵触する

ビジネス

米ヘッジファンド、7─9月期にマグニフィセント7へ

ワールド

アングル:気候変動で加速する浸食被害、バングラ住民
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 2
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 3
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...その正体は身近な「あの生き物」
  • 4
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 5
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 6
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 7
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    「腫れ上がっている」「静脈が浮き...」 プーチンの…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中