最新記事

パンデミック

トランプ「欧州からの入国を30日間停止」発表 低利融資など支援策も

2020年3月12日(木)16時45分

トランプ米大統領は、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するため、13日から欧州から米国への入国を30日間全面的に停止すると発表した。代表撮影(2020年 ロイター)

トランプ米大統領は11日、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するため、13日から欧州から米国への渡航を30日間停止すると発表した。同時に中小企業などに向けた500億ドル規模の低利融資による支援策も明らかにした。

渡航停止は英国には適用せず、「適切なスクリーニング」を受ける米国民も対象外となる。

トランプ氏は「近代史上、最も積極的で包括的なウイルス対策だ。厳しい措置で国民に対する脅威を大幅に減らし、最後にはウイルスに打ち勝つ」と自信を示した。非常事態宣言は出していない。

対欧州規制を巡っては、演説では物資も対象としていたが、後にツイッターで「物資は対象外」と訂正した。

発表を受け金融市場は大荒れ。ユーロSTOXX50指数先物は8.3%下落し、2016年半ば以来の安値をつけた。米株価先物も4%超下落した。

大統領は米政府は同盟国と頻繁に連絡を取り合っていると述べたが、ある欧州の外交筋は欧州連合(EU)当局者に事前の通知はなかったとし、「大統領が主張しているような注意喚起や調整は全くなかった」と語った。

欧州の警戒は不十分


欧州からの渡航禁止について、大統領は、米国での感染拡大は欧州に原因の一端があると批判。「欧州連合(EU)は同じ予防措置を取ることをせず、中国やその他の感染急増地域からの渡航制限をしなかった。このため、米国では欧州からの旅行者から感染が広がった」と指摘した。

大統領は、米国到着前の14日間に一部の欧州諸国に滞在した外国人のほとんどを入国禁止とする大統領令に署名した。国土安全保障省によると、対象国はオーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス。

合法的な永住者や米国民の近親者などは対象外となっている。

金融支援


大統領は、影響を受けた一部の企業や個人の税務申告期限を延期するよう財務省に指示した。利子や罰金は適用されない。

また、労働者の感染、検疫、家族の看病について金融支援を行う方針を示した。

中小企業局には、500億ドル(約5兆2500億円)の個人・中小企業向け低利融資や、納税申告期限の3カ月延期を行う方針。

*内容を追加します。



[ワシントン ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・一斉休校でわかった日本人のレベルの低さ
・豪でトイレットペーパーめぐって乱闘 英・独のスーパーは個数制限で買い占め防止
・スペイン、首都マドリードで新型コロナウイルス患者急増 保健当局「医療対応に限界」


20200317issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月17日号(3月10日発売)は「感染症 vs 人類」特集。ペスト、スペイン風邪、エボラ出血熱......。「見えない敵」との戦いの歴史に学ぶ新型コロナウイルスへの対処法。世界は、日本は、いま何をすべきか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

午前の日経平均は反落、一時700円超安 前日の上げ

ワールド

トルコのロシア産ウラル原油輸入、3月は過去最高=L

ワールド

中国石炭価格は底入れ、今年は昨年高値更新へ=業界団

ワールド

カナダLNGエナジー、ベネズエラで炭化水素開発契約
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 9

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 10

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中