最新記事

ジェノサイド

国際司法裁判所、全会一致でミャンマーにロヒンギャ迫害停止を命令

2020年1月24日(金)15時09分

ミャンマー国軍によるイスラム教徒少数民族ロヒンギャ迫害は、ジェノサイド(民族大量虐殺)条約の違反だとして、西アフリカのガンビアが国際司法裁判所(ICJ)に提訴した訴訟で、ICJは23日、ロヒンギャの人々を迫害から守るためあらゆる措置を講じるようミャンマーに命じた。写真はICJ。オランダのハーグで撮影(2020年 ロイター/Eva Plevier)

ミャンマー国軍によるイスラム教徒少数民族ロヒンギャ迫害は、ジェノサイド(民族大量虐殺)条約の違反だとして、西アフリカのガンビアが国際司法裁判所(ICJ)に提訴した訴訟で、ICJは23日、ロヒンギャの人々を迫害から守るためあらゆる措置を講じるようミャンマーに命じた。

国民の大半がイスラム教徒のガンビアは昨年11月、全ての国はジェノサイドを防ぐという義務を負っているとして、イスラム協力機構(OIC)に加盟する57カ国を代表してICJに提訴した。

ICJが最終判断を下すのは数年先になるとみられており、今回ICJはガンビアの求めに応じて仮処分命令を出したに過ぎない。ただICJは、ロヒンギャの人々が脅威にさらされ続けていると判断し、全会一致で仮処分命令を決定した。

ミャンマーは1948年に採択されたジェノサイド条約で禁止された全ての行為を防ぐため、あらゆる措置を講じる必要があり、まず4カ月以内にICJに報告することが義務付けられている。その後も判決が出るまで半年ごとに報告する必要がある。

ICJの判断は、ロヒンギャの人々にとり国際的な司法の場で示された初めての勝利となった。オランダのハーグにあるICJに集まったロヒンギャ人権保護を訴える人々や、ミャンマー国外に逃れたロヒンギャ難民から喜びの声が挙がった。

[ハーグ/コックスバザール(バングラデシュ) ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200128issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年1月28日号(1月21日発売)は「CIAが読み解くイラン危機」特集。危機の根源は米ソの冷戦構造と米主導のクーデター。衝突を運命づけられた両国と中東の未来は? 元CIA工作員が歴史と戦略から読み解きます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

再送-〔アングル〕日銀、柔軟な政策対応の局面 米関

ビジネス

3月完全失業率は2.5%に悪化、有効求人倍率1.2

ビジネス

トランプ氏一族企業のステーブルコイン、アブダビMG

ワールド

EU、対米貿易関係改善へ500億ユーロの輸入増も─
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 10
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中