最新記事

中東

イラン、イラク駐留の米軍基地2カ所へ十数発のロケット弾発射 トランプは「万事順調」

2020年1月8日(水)13時45分

イランは8日未明、米軍が駐留するイラクのアルアサド空軍基地に複数のロケット弾を発射した。写真はイラクのアルアサド空軍基地。2019年12月29日撮影(2020年 ロイター/Thaier Al-Sudani)

イランは8日未明、米軍が駐留するイラクのアル・アサド空軍基地に複数のロケット弾を発射した。この数時間前には、米軍の空爆によって殺害されたイラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官の葬儀が行われ、軍や政府の高官が米国への報復を誓っていた。

イランのヘサメディン・アシェナ大統領顧問は8日 米国がイランのミサイル攻撃に反撃すれば、中東地域の全面戦争につながるとツイッターに投稿した。同顧問は「米国が軍事行動で反撃すれば、地域の全面戦争につながる。ただサウジは別の道を行くかもしれない。完全な平和を享受できるかもしれない!」と述べた。

米国防総省によると、米国主導の有志連合軍が駐留する少なくとも2か所のイラク軍基地に対し、イランから十数発の弾道ミサイルが発射された。

イラン革命防衛隊は、ソレイマニ司令官殺害の報復としてロケット弾を発射したと認めた。国営テレビが報じた。これ以上の死者を出さないよう米国は地域から撤退したほうがよいとしている。

米国防総省のホフマン報道官は、声明で「攻撃による初期の被害状況を調査している」と説明した。攻撃されたのはアル・アサド空軍基地とエルビルにある基地という。そのうえで「状況と対応策を判断したうえで、米国人、パートナー、地域の同盟国を守るため、必要なあらゆる措置を講じる」と述べた。

トランプ米大統領は7日、イランのミサイル攻撃について、被害状況の確認を進めており、8日午前に声明を発表すると述べ、ツイッターに「万事順調だ!」と投稿した。報道官によると大統領は国家安全保障チームと協議しているという。

ある関係筋は米国側に負傷者はいないもようだと語った。他の米当局者らはコメントを控えた。

エスパー米国防長官は7日の国防総省での記者会見で、「イランが何らかの方法や形で報復すると予期すべきだ」と語っていた。イランが支援する国外の代理勢力あるいは「イラン自身の手」によって行われる可能性があるとした。

「あらゆる不測の事態に私たちは備えている。イランがどのような行動に出ても、適切に対応する」と続けた。

イランのザリフ外相は、イラクの米軍駐留基地にロケット弾を8日に発射したことを受け、イランは事態の激化や戦争を求めていないとツイッターで表明した。その上で、イランはいかなる攻撃に対しても自衛すると付け加えた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国、26年投資計画発表 420億ドル規模の「二大

ワールド

ロシアの対欧州ガス輸出、パイプライン経由は今年44

ビジネス

スウェーデン中銀、26年中は政策金利を1.75%に

ビジネス

中国、来年はより積極的なマクロ政策推進へ 習主席が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 7
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    日本人の「休むと迷惑」という罪悪感は、義務教育が…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中