最新記事

ウクライナ疑惑

米EU大使証言「トランプが政敵捜査の見返りにホワイトハウスでの首脳会談を提案」

2019年11月21日(木)08時53分

トランプ米大統領のウクライナ疑惑を巡る米下院情報特別委員会の弾劾公聴会で、ソンドランド駐欧州連合(EU)代表部大使は20日、ウクライナ問題ではトランプ大統領の「命令」に従い、トランプ氏の顧問弁護士であるジュリアーニ氏に協力したと証言した(2019年 ロイター/JONATHAN ERNST)

トランプ米大統領のウクライナ疑惑を巡る米下院情報特別委員会の弾劾公聴会で、ソンドランド駐欧州連合(EU)代表部大使は20日、ウクライナ問題でトランプ大統領の「指示」に従い、トランプ氏の顧問弁護士であるジュリアーニ氏に協力したと証言したほか、初めてポンペオ国務長官とペンス副大統領が役割を果たしていたことを明らかにした。

それによると、ジュリアーニ氏がウクライナのゼレンスキー大統領に対し、ホワイトハウスで米ウクライナ首脳会談を開催する「見返り」として民主党のバイデン前副大統領らトランプ氏の政敵への捜査を行うよう要求したという。

ソンドランド氏は、自分を含め3人の高官がトランプ氏からジュリアーニ氏への協力を指示されたとした上で、「ジュリアーニ氏に協力したくなかったが、断れば米ウクライナ関係を強固にする重要な機会を逃すことになると考え、大統領の指示に従った」と述べた。

さらにウクライナ問題はポンペオ国務長官も関知しており、長官は「完全に協力的」だったと指摘した。ジュリアーニ氏は弾劾調査への協力を拒否している。

ソンドランド氏はウクライナ疑惑にトランプ大統領が積極的に関与していた様子を詳細に証言。ポンペオ国務長官がウクライナによるバイデン氏らの捜査実施に向けた取り組みに関与していたほか、ペンス副大統領もこうした取り組みについて認識していたと証言し、これまでに行った非公開での証言よりも踏み込んだ内容を明らかにした。

ソンドランド氏は弾劾調査の焦点となっている7月25日のトランプ氏とゼレンスキー大統領の電話会談に先立ち、米政権高官に「誰もが関与している。これを知らない人はいない」との記述のある電子メールを送付。この電子メールはポンペオ国務長官のほか、ペリー・エネルギー長官、マルバニー大統領首席補佐官代行らに送付したとしている。

弾劾調査では、トランプ氏がゼレンスキー氏との電話会談でバイデン氏ら政敵などへの捜査を要請したことが焦点となっている。会談に先立ち、トランプ氏は3億9100万ドル規模の対ウクライナ軍事支援を凍結しており、民主側はトランプ氏が軍事支援を材料にウクライナ側に捜査を行うよう圧力をかけたと主張している。

ソンドランド氏は、ウクライナへの軍事支援はロシアの侵攻を防ぐために欠かすことができず、支援凍結には断固反対したと説明。「凍結理由を何度も問いただしたが明確な回答は得られなかった。そのうち、ウクライナが16年米大統領選(への介入疑惑)や(バイデン氏の息子が取締役だったウクライナのガス会社)ブリスマへの捜査を行うと正式に約束するまで支援再開はないだろうと考えるようになった」と述べた。

前日の公聴会では、国家安全保障会議(NSC)でウクライナ問題を担当するビンドマン陸軍中佐が、バイデン氏への捜査をウクライナに要請したのは「不適切」だったと証言した。

*内容を追加しました。

[ワシントン 20日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191126issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

11月26日号(11月19日発売)は「プラスチック・クライシス」特集。プラスチックごみは海に流出し、魚や海鳥を傷つけ、最後に人類自身と経済を蝕む。「冤罪説」を唱えるプラ業界、先進諸国のごみを拒否する東南アジア......。今すぐ私たちがすべきこととは。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インタビュー:戦略投資、次期中計で倍増6000億円

ワールド

トランプ氏、イスラエル首相と来週会談 ホワイトハウ

ビジネス

ロビンフッド、EU利用者が米国株を取引できるトーク

ワールド

トランプ氏、シリア制裁解除で大統領令 テロ支援国家
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とんでもないモノ」に仰天
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 5
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引き…
  • 6
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 9
    顧客の経営課題に寄り添う──「経営のプロ」の視点を…
  • 10
    飛行機のトイレに入った女性に、乗客みんなが「一斉…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中