最新記事

子育て

親に嘘をつかれた子は親に嘘をつく大人に? 調査結果

2019年10月29日(火)18時30分
松丸さとみ

子どものときに親に嘘をつかれたことが多い人は...... Pekic-iStock

<子どものときに親に嘘をつかれたことが多い人ほど、大人になって親に嘘をついたり、心理的な問題を抱えることが多い傾向にあることが明らかになった......>

子育てでのちょっとした嘘が子どもの心理に影響

「良い子にしないとお巡りさん呼ぶよ」「早く来ないと置いて行っちゃうよ」などなど、親として、子どもに言うことを聞かせようとちょっとした嘘をつくこともあるのではないだろうか。逆に、自分が子どもの頃に親にこんな些細な嘘をつかれた経験もあるかもしれない。

しかしシンガポールの大学でこのほど行われた調査により、子どものときに親に嘘をつかれたことが多い人ほど、大人になって親に嘘をついたり、心理的な問題を抱えることが多い傾向にあることが明らかになった。

調査は、シンガポールのナンヤン工科大学(南洋理工大学、NTU)が、カナダのトロント大学と米カリフォルニア大学サンディエゴ校、中国の浙江師範大学との協力で行ったもの。結果は、児童心理学専門の医学誌「ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・チャイルド・サイコロジー」に掲載された。

379人のアンケートと自己診断を分析

NTUによると、シンガポールで18〜28歳の379人に、オンラインで2種類のアンケートに答えてもらった。1つ目のアンケートは、子どもの頃に親にどんな嘘をつかれたかを聞くもので、食事に関するもの、ある場所から去るまたはとどまることに関するもの、行動の良し悪しに関すること、お金に関することの4カテゴリー、16パターンの嘘だ。

例えば、何かおねだりをした時に「今日はお金を持ってきていないからまた今度ね」などで、それぞれの嘘のパターンに対し、自分が親につかれた嘘に当てはまるか否かで「はい」「いいえ」「覚えていない」で答えてもらった。

2つ目のアンケートは、大人になった今の自分は親にどのくらい嘘をついているか(自分の行動についての嘘や、他人のためにつく嘘など12パターン)を聞いた。それぞれの嘘のパターンに対し、1(まったくない)から5(非常によくある)の点数を入れてもらった。

参加者はさらに自分について、外在化された問題(攻撃性、規則破り、過干渉など)と内在化された問題(心配やうつ、引きこもりなど)について自己診断してもらった。

これらの回答を分析したところ、子どもの頃に嘘をつかれたことが多い人ほど、大人になって自分も親に嘘をついていると回答した。また、攻撃的になったり、規則を破ったり、過干渉な行動を取ったりするなど、社会的に好ましくない問題を発達させてしまうリスクが高くなることも分かった。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

訂正-ゼレンスキー氏、和平案巡り国民投票実施の用意

ワールド

イスラエル、ソマリランドを初の独立国家として正式承

ワールド

ベネズエラ、大統領選の抗議活動後に拘束の99人釈放

ワールド

ゼレンスキー氏、トランプ氏と28日会談 領土など和
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 8
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 9
    赤ちゃんの「足の動き」に違和感を覚えた母親、動画…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中