最新記事

アメリカ政治

米下院、トランプ弾劾に向けた動きを加速 ジュリアーニ元NY市長に召喚状

2019年10月1日(火)12時55分

トランプ米大統領の弾劾調査を進めている議会下院の情報、外交、監視・政府改革の3委員会は、トランプ氏の顧問弁護士ジュリアーニ元ニューヨーク市長(写真)に召喚状を出した。アルバニアで6月撮影(2019年 ロイター/Florion Goga)

トランプ米大統領がウクライナ政府にバイデン前副大統領の調査を働きかけた問題をめぐり、米下院の情報特別委員会は30日、トランプ氏の顧問弁護士ジュリアーニ元ニューヨーク市長に召喚状を出した。野党民主党が過半数を握る下院で、トランプ氏弾劾訴追に向けた動きが活発になっている。

下院の情報、外交、監視・政府改革の3委員会は、ジュリアーニ氏がトランプ氏の指示を受けてウクライナ政府に調査を促した可能性が高いとみて、関連文書を10月15日までに提出するよう求めた。

3委員会は声明で、ジュリアーニ氏がテレビ番組で、バイデン前副大統領を「ターゲット」にするようウクライナ政府に求めたことを認めたと指摘した。

3委員会の委員長は書簡で、「大統領としての権限を乱用してトランプ氏個人の政治的利益を追求する計画において、あなたが大統領の代理として活動したという信頼に値する申し立ても調査の対象だ」と伝えた。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じたところによると、ポンペオ米国務長官は、7月25日のトランプ氏とウクライナのゼレンスキー大統領による電話会談に参加していた。

また、米紙ニューヨーク・タイムズによると、トランプ氏は、2016年の米大統領選にロシア政府が介入した疑惑の捜査が適切だったかを検証するため、オーストラリアのモリソン首相に協力を要請していた。同紙によると最近の電話協議でトランプ氏は、ロシア疑惑捜査の検証作業を行うバー司法長官への協力をモリソン氏に求めた。トランプ氏が個人の利益を目的に外交を利用したとの批判が高まる可能性がある。

さらに、米紙ワシントン・ポストは、バー長官が英国とイタリアの情報機関当局者と海外で会談し、検証作業への協力を呼びかけたと伝えた。

下院情報特別委員会は26日、トランプ氏の対ウクライナ圧力疑惑に関する内部告発を公表した。

トランプ氏は30日「内部告発者について調べている。正しくないことを報告する内部告発者がいる」と批判を強めた。

さらに、内部告発者と内部告発の情報を公開したホワイトハウス高官はスパイだと指摘。反逆罪に問われる可能性があると指摘した。

一方、民主党はトランプ氏に近い共和党のリンゼー・グラム上院司法委員長に対して、政権の内部告発の扱い方について調査するよう要請。さらに、この問題の証言者が脅かされることがないよう保護する必要があると主張した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防

ワールド

アングル:トランプ氏のカナダ併合発言は「陽動作戦」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    大麻は脳にどのような影響を及ぼすのか...? 高濃度の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中