最新記事

アメリカ政治

トランプ、海外指導者との約束巡る内部告発報道は「フェイクニュース」

2019年9月20日(金)10時02分

トランプ米大統領が海外の指導者と交わした約束を巡り米情報機関の当局者が内部告発したとの米紙報道に対し、トランプ氏は19日、「フェイク(偽)ニュース」として非難した。カリフォルニア州オタイーメサで18日撮影(2019年 ロイター/TOM BRENNER)

トランプ米大統領が海外の指導者と交わした約束を巡り米情報機関の当局者が内部告発したとの米紙ワシントン・ポストの報道に対し、トランプ大統領は19日、「フェイク(偽)ニュース」として非難した。

トランプ大統領はツイッターへの投稿で、自身と海外指導者との電話での会話は米国内の当局者のみならず他国の当局者も聞いているかもしれないことを理解しているとし、「このように『人が密集している』可能性のある電話で私が海外指導者に不適切な発言をすると信じるのは愚かだ」と指摘。「私は正しいことだけを行い、米国に良いことのみを行う!」と述べた。

ワシントン・ポストの18日付の報道によれば、米情報機関の活動の調整や情報共有を図るインテリジェンス・コミュニティーのマイケル・アトキンソン監察官は、内部告発の信頼性は高く、議会委員会への通知を必要とするほど緊急性を要する問題と判断したという。トランプ氏が約束を交わしたとされる海外指導者、約束の内容などは不明とされた。

米下院情報委員会のシフ委員長(民主党)は告発に関する詳細を公開するよう情報機関当局者に求めている一方、トランプ政権は現時点で公開を拒否している。

シフ委員長は19日、トランプ氏と海外の指導者のやり取りに関わったとされる内部関係者の告発が情報機関から議会に渡るのを妨害したとして司法省を批判。トランプ政権は議会による調査を阻んでいると非難した。

ロイターは内部関係者の告発の具体的な内容を確認できていない。

シフ委員長は「回答が得られていないため、ホワイトハウスが直接関与しているかどうか分からない。しかしホワイトハウスが特権を使えそうな部分で権利を行使していることは分かっている」と述べた。

下院情報委員会のマイク・クイグリー議員(民主党)は記者団に対して「バー司法長官と司法省は大統領を守ることが仕事だと考えている。法に違反するかどうかは気にしていない」と述べた。

CNNは19日、マグワイア国家情報長官代行に告発の写しを議会に渡さないよう助言する動きにホワイトハウスと司法省が関わったと報じた。

関係筋によると、監察官が内部告発を受け取ったのは8月12日で、告発者は中央情報局(CIA)関係者ではない可能性が高いという。

下院情報委員会は19日、アトキンソン監察官との非公開の会議で告発に関して協議するほか、来週にはマグワイア国家情報長官代行の公聴会を予定している。

*内容を追加しました。

[ワシントン 19日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ハマスが停戦違反と非難、ネタニヤフ首相 報復表明

ビジネス

ナイキ株5%高、アップルCEOが約300万ドル相当

ワールド

ゼレンスキー氏、和平案巡りトランプ氏との会談求める

ワールド

タイ・カンボジア両軍、停戦へ向け協議開始 27日に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 5
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 6
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 7
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 8
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 9
    【投資信託】オルカンだけでいいの? 2025年の人気ラ…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 10
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中