最新記事

韓国

韓国のインスタントラーメン消費は世界一、その日本との関わりは?

2019年9月12日(木)17時30分
佐々木和義

辛ラーメンを製造する「農心」は、創業者の辛春浩氏がロッテ重光武雄会長の実弟で、日本の市場動向を追った製品を数多く手掛ける食品メーカーである。

三養ラーメンは1963年に発売された韓国第1号のインスタントラーメンだ。朝鮮戦争後の食糧難が続いていた頃、創業者の全仲潤氏がコメの代わりに手軽に食べられる食品として発案。国民の窮乏を救いたいという同氏の願いに「明星食品」の当時の奥井清澄社長が共鳴し、技術を無償で供与した。当初は日本と同じレシピだったが、韓国人の嗜好に合わせて手を加えられている。

三養食品は「プルダク焼きそば」シリーズが国内外で2825億ウォン(約266億円)を売上げ、初の海外拠点として日本に現地法人を設立した。2018年の総輸出額2000億ウォンに対して日本は36億ウォンにとどまっている。

長らくシェアを2分してきた「辛ラーメン」と「三養ラーメン」だが、「八道」が3位に浮上した。韓国ヤクルトのラーメンブランドで、2011年に発売した白いスープでありながら赤いスープと同じ辛さの「コッコ麺」がブームになり、一気にシェアを拡大した。ビビン麺などを日本に「逆輸出」するほか、ロシアでの販売を伸ばしている。

ノンフライ麺市場も増加する?

インスタントラーメン大国の韓国だが、2013年に2兆ウォンに達したあと停滞が続き、各社は打開策を求めて日本市場の動向を注視する。

まず仕掛けたのは農心で、辛ラーメンブランドにカロリーを抑えたノンフライ麺を投入した。ノンフライ麺は従来の即席麺と比べて味も食感も劣ると考える消費者が多く。これまで敬遠されてきたが、健康を重視する層への訴求を期待する。

日本では2011年の即席麺市場で5%に過ぎなかったノンフライ麺が、2014年には25%に拡大しており、韓国も似たパターンで推移すると見ているのだ。

2015年に629億ウォンだったノンフライ麺市場が2018年には1178億ウォンまで広がっており、2019年は1400億ウォンに成長すると業界は期待している。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ベトナム国会議長、「違反行為」で辞任 国家主席解任

ビジネス

ANAHD、今期18%の営業減益予想 売上高は過去

ワールド

中国主席「中米はパートナーであるべき」、米国務長官

ビジネス

中国、自動車下取りに補助金 需要喚起へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 8

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中