最新記事

軍拡

新型核兵器もアジア配備も──INF後の米ロ軍拡競争が始まった

U.S. Launches Four Missiles, Rejects Russia's Offer to Sell Advanced Arms

2019年9月9日(月)18時00分
トム・オコナー

原子力潜水艦ネブラスカから発射されたトライデントIIミサイル(2018年3月)U.S. Navy/REUTERS

<ミサイル軍拡競争はもう始まっている。ロシアはアメリカにまだない最新兵器の売却を打診、「最新兵器の売り込み」も>

9月初め、米軍が核搭載可能な中距離ミサイルの発射実験を行ったのと相前後して、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はアメリカに対し最新鋭兵器の売却を持ちかけたことを明らかにした。

米海軍は6日、「ミサイル発射実験を予定通り、4回にわたり行った」と発表した。カリフォルニア州サンディエゴ沖でオハイオ級潜水艦ネブラスカから潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)トライデントIIを、4日と6日にそれぞれ2回ずつ発射したという。ただし「世界で現在進行中の出来事への対応として行われたわけではいっさいない」としている。

その前日の5日、プーチンは東方経済フォーラム全体会合で、6月にドナルド・トランプ米大統領に対し、軍事大国同士「あらゆる点で釣り合いを取る」ために核ミサイルや超音速ミサイルなどロシアの最新型の武器を購入してはどうかともちかけたと述べた。プーチンによれば、米高官らは「すぐに同じようなものを自前で作れるようになる」と言って断ったという。

<参考記事>アメリカも抜いた?ロシア製最終兵器、最新の実力

ちなみに6日にも米高官が、ロシア製兵器の購入について似た発言を行っている。ロシア国営タス通信はあるトランプ政権高官の話としてこう伝えた。「アメリカにとって、ロシアから先進的なミサイル技術を購入する理由はほとんどない。ミサイル技術の安全な開発、実験、利用における競争で、アメリカはロシアを大きくリードしている」

最新鋭の兵器開発に意欲見せる両首脳

トライデントは潜水艦発射弾道ミサイルで、戦略爆撃機、大陸間弾道ミサイルと併せて各戦略3本柱全体の70%を占めている。トランプは昨年2月、トライデント向けの低出力の核弾頭W76の開発計画を含む新たな「核態勢の見直し(NPR)」を発表。核戦争の可能性を高めるのではと懸念を呼んだ。

プーチン政権はトランプ政権に対してくりかえし、この問題を提起してきた。一方でトランプ政権は、ロシアこそ以前から低出力の核兵器を研究してきたと批判している。両首脳とも、何らかの形で自国の核兵器の優位性を確立する決意は固い。NPRの発表から1カ月後、プーチンはいかなる既存の近代兵器や将来の防衛システムでも歯が立たないような新型ハイテク兵器の開発を明らかにした。

<参考記事>ロシア「撃ち落とせない極超音速ミサイル」を実戦配備へ

この新型ハイテク兵器には、ICBM(大陸間弾道ミサイル)のサルマートや極超音速滑空弾頭アバンガルド、極超音速空対地ミサイルのキンジャール、原子力巡航ミサイルのブレベストニク、水中ドローン(無人機)のポセイドンが含まれる。また、今年に入りプーチンは、極超音速潜水艦発射巡航ミサイル「ツィルコン」の実験を行っていることも明らかにした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

フィッチ、インドネシア見通し「ネガティブ」に下げ 

ワールド

イラン軍艦がスリランカ沖で沈没、32人救助 遺体を

ワールド

中国政協開幕、軍トップ張氏ら政治局員2人が姿見せず

ビジネス

スイス中銀、為替介入意欲が高まる=副総裁
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られる」衝撃映像にネット騒然
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 6
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 7
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 8
    人気の女性インフルエンサー、「直視できない」すご…
  • 9
    イランへの直接攻撃は世界を変えた...秩序が崩壊する…
  • 10
    「外国人が増え、犯罪は減った」という現実もあるの…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 3
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 6
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 9
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 10
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中