最新記事

日韓関係

韓国、日本との軍事情報協定破棄へ 米国防総省「強い懸念と失望」と批判

2019年8月23日(金)09時33分

22日、韓国大統領府は、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄すると表明した。写真は15日、韓国チョナンで演説をする韓国の文在寅大統領。代表撮影(2019年 ロイター/Jung Yeon-je)

韓国が22日に日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄を決定したことを受け、ポンペオ米国務長官は「失望した」と語り、日韓両国が連携することの重要性を強調した。

ポンペオ長官は訪問先のカナダで記者団に対し「韓国の決定に失望した」と発言。韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相と22日に電話で協議したことを明かし、「日韓の共通利益が米国にとって重要であることは疑いがない」と述べた。

韓国大統領府は22日、日本が貿易規制上の優遇措置対象である「ホワイト国」リストから韓国を除外し、両国の安全保障協力環境に「重大な変化」をもたらしたとして、GSOMIAを破棄することを発表。協定の維持は国益にかなわないと判断したと表明した。

GSOMIAは軍事上の機密情報を共有するための取り決めで、日韓は2016年に締結した。両国はそれまでそれぞれの同盟国である米国を介して情報を共有していたが、北朝鮮がミサイル発射や核実験を繰り返す中、直接やりとりできる仕組みに切り替えた。

米国の元国務次官補ダニエル・ラッセル氏(東アジア・太平洋担当)は、オンライン・ニュースレターの「ネルソン・レポート」で、「米国第一主義がもたらした結果だ。あらゆる国が他国との連携網よりも自国を優先させている」と分析。「北朝鮮が保有する核・弾道ミサイルが急速に拡大しているこのタイミングでGSOMIAを破棄するのは、直接的に米国の安全保障を損なう」とした。その上で、中国が台頭する中、米国主導の同盟体制の崩壊は「大惨事」だと指摘した。

日本政府は22日夜、南官杓・駐日韓国大使を外務省に呼んで抗議した。安倍晋三首相は翌23日午前、記者団の前で日韓請求権協定に触れ、「国と国との約束は守ってほしいという基本的な方針は変わらない」と強調。韓国側がこの点で対応しない限り、日本側から新たな対応策を示すことはないと語った。岩屋毅防衛相も同日、「失望を禁じ得ず、極めて遺憾だ」と述べた。

韓国政府は破棄の決定に先立ち、国家安全保障会議(NSC)を開いて数時間にわたって協議した。協定の更新期限が今月24日に迫り、日韓のどちらかが破棄を通告しない限り自動的に延長されることになっていた。

破棄決定を発表した大統領府の金有根(キム・ユグン)国家安保室第1次長は、日本政府が明確な証拠を提示せず、安全保障上の懸念を理由に韓国をホワイト国のリストから除外したと発言。これによって両国の安全保障協力環境に「重大な変化」が生じたとの認識を示した。

康外相は記者団に対し、日本への信頼喪失が今回の決定を招いたとし、「引き続き米国との協力関係を強化するとともに同盟関係の発展に努める」と語った。

*内容を追加して再構成しました。

[ソウル 22日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20190827issue_cover200.jpg
※8月27日号(8月20日発売)は、「香港の出口」特集。終わりの見えないデモと警察の「暴力」――「中国軍介入」以外の結末はないのか。香港版天安門事件となる可能性から、武力鎮圧となったらその後に起こること、習近平直属・武装警察部隊の正体まで。また、デモ隊は暴徒なのか英雄なのかを、デモ現場のルポから描きます。

ニュース速報

ワールド

焦点:コロナ禍でうごめく「マスクブローカー」、粗悪

ワールド

東京都の新規感染者110人以上、初の3桁=国内メデ

ワールド

南アジア、新型コロナ感染者6000人に迫る インド

ワールド

韓国、「社会的距離」強化を2週間延長 感染ペース5

MAGAZINE

特集:コロナ危機後の世界経済

2020-4・ 7号(3/31発売)

感染拡大で経済先進国の序列と秩序はこう変わる── コロナ後の「ニュー・エコノミー」を識者が徹底解説

人気ランキング

  • 1

    「コロナ失業」のリスクが最も高い業種は?

  • 2

    台湾人だけが知る、志村けんが台湾に愛された深い理由

  • 3

    日本が新型肺炎に強かった理由

  • 4

    BCGワクチンの効果を検証する動きが広がる 新型コロ…

  • 5

    新型コロナウイルスをめぐる各国の最新状況まとめ(4…

  • 6

    日本で新型コロナの死亡率が低いのは、なぜなのか?

  • 7

    「アビガン」は世界を救う新型コロナウイルス治療薬と…

  • 8

    新型コロナで都市封鎖しないスウェーデンに、感染爆…

  • 9

    新型コロナに「脳が壊死」する合併症の可能性

  • 10

    ドイツ政府「アーティストは必要不可欠であるだけで…

  • 1

    「コロナ失業」のリスクが最も高い業種は?

  • 2

    ドイツ政府「アーティストは必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要なのだ」大規模支援

  • 3

    BCGワクチンの効果を検証する動きが広がる 新型コロナウイルス拡大防止に

  • 4

    日本で新型コロナの死亡率が低いのは、なぜなのか?

  • 5

    ブラジル大統領ロックダウンを拒否「どうせ誰もがい…

  • 6

    食肉市場に出回るペット 出荷前には無理やり泥水を…

  • 7

    「緊急事態宣言、4月1日に出すという事実ない」 菅官…

  • 8

    日本が新型肺炎に強かった理由

  • 9

    新型コロナ、若者ばかりが責められて「中高年」の問…

  • 10

    台湾人だけが知る、志村けんが台湾に愛された深い理由

  • 1

    一斉休校でわかった日本人のレベルの低さ

  • 2

    日本が新型肺炎に強かった理由

  • 3

    「コロナ失業」のリスクが最も高い業種は?

  • 4

    BCGワクチンの効果を検証する動きが広がる 新型コロ…

  • 5

    ドイツ政府「アーティストは必要不可欠であるだけで…

  • 6

    日本で新型コロナの死亡率が低いのは、なぜなのか?

  • 7

    韓国はなぜ日本の入国制限に猛反発したのか

  • 8

    新型コロナショック対策:消費税減税も現金給付も100…

  • 9

    フランスから見ると驚愕の域、日本の鉄道のあり得な…

  • 10

    ついに日本は終わった

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2020年4月
  • 2020年3月
  • 2020年2月
  • 2020年1月
  • 2019年12月
  • 2019年11月