最新記事

G7

イラン外相がG7開催地訪問 仏マクロンらと会談するも米トランプとの緊張緩和ならず

2019年8月26日(月)09時45分

イランのザリフ外相(写真)は、主要7カ国(G7)首脳会議の議長国フランスの当局者らと会談するため当地を訪問した。22日にオスロで撮影(2019年 ロイター/NTB SCANPIX)

イランのザリフ外相は25日、主要7カ国(G7)首脳会議の議長国フランスの当局者らと会談するため当地を訪問した。イランと米国の緊張緩和に向けた取り組みの一環として、マクロン仏大統領が招待した。

ザリフ外相は、ツイッターへの投稿で「前途は多難だが、やってみる価値はある」と述べ、マクロン大統領をはじめ仏当局者らのほか、ドイツや英国の高官らとも会談したことを明らかにした。

フランスの当局者は「大統領とザリフ外相の会談は前向きだった。今後も協議を続けていく」と語ったが、詳細に関する質問は受け付けなかった。

米国は昨年に2015年のイラン核合意から離脱して以降、イランが弾道ミサイルプログラムなどを含む新たな交渉に応じるよう、最大限の圧力をかけている。

欧州諸国もイランとの新たな協議を望んでいるものの、核合意を維持すべきとの立場だ。核合意維持に向けた欧州の取り組みを主導するマクロン大統領は23日、パリでザリフ氏とすでに会談している。

両氏は米制裁の一部緩和や、米制裁によって失われた石油収入を補填(ほてん)する経済補償メカニズムの提供など、米国とイランの緊張緩和に向けた案を協議した。

マクロン大統領は24日、トランプ米大統領と昼食会で2時間会談。夜のG7首脳会談でもイラン問題が詳細に議論されたが、マクロン氏が米国に求めた原油セクターの制裁緩和で、トランプ大統領から譲歩は得られなかったようだ。

欧州の外交筋は、首脳らはトランプ氏を説得できなかったと指摘した。

トランプ氏は25日、緊張緩和に向けたフランスの取り組みを一蹴し、米国は独自の計画を実行すると述べた。

米ホワイトハウス当局者によると、ザリフ氏の訪問はトランプ氏にとってサプライズとなった。ザリフ氏と会談した米当局者はいなかったという。

ザリフ氏の訪問は直前まで明らかにされていなかった。

イランの高官は、ロイターに対し「ザリフ氏は、2015年のイラン核合意の存続に向けたマクロン大統領の提案へのイラン指導部の回答を伝える」と述べた。

現時点で、提案されているイランとの人道物資などの取引ルートはまだ稼動しておらず、米国が制裁緩和の兆しをまったくみせない中、マクロン氏がどういった補償メカニズムをイランに提案したいのかは明らかではない。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20240423issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月23日号(4月16日発売)は「老人極貧社会 韓国」特集。老人貧困率は先進国最悪。過酷バイトに食料配給……繫栄から取り残され困窮する高齢者は日本の未来の姿

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB、大きな衝撃なければ近く利下げ 物価予想通り

ワールド

プーチン氏がイラン大統領と電話会談、全ての当事者に

ビジネス

英利下げ視野も時期は明言できず=中銀次期副総裁

ビジネス

モルガンS、第1四半期利益が予想上回る 投資銀行業
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 2

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア黒海艦隊「主力不在」の実態

  • 3

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無能の専門家」の面々

  • 4

    韓国の春に思うこと、セウォル号事故から10年

  • 5

    中国もトルコもUAEも......米経済制裁の効果で世界が…

  • 6

    【地図】【戦況解説】ウクライナ防衛の背骨を成し、…

  • 7

    訪中のショルツ独首相が語った「中国車への注文」

  • 8

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    「アイアンドーム」では足りなかった。イスラエルの…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 3

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...当局が撮影していた、犬の「尋常ではない」様子

  • 4

    ロシアの隣りの強権国家までがロシア離れ、「ウクラ…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    NewJeans、ILLIT、LE SSERAFIM...... K-POPガールズグ…

  • 7

    ドネツク州でロシアが過去最大の「戦車攻撃」を実施…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    猫がニシキヘビに「食べられかけている」悪夢の光景.…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中