最新記事

ブレグジット

英ジョンソン首相、内閣不信任案めぐり議会を牽制「不信任可決されても総選挙はEU離脱後」

2019年8月9日(金)07時46分

英国のジョンソン首相は8日、英議会は欧州連合(EU)離脱が賛成多数で決まった2016年の国民投票の結果を尊重する必要があるとの考えを示した。オックスフォードシャーで代表撮影(2019年 ロイター)

英国のジョンソン首相は8日、英議会は欧州連合(EU)離脱が賛成多数で決まった2016年の国民投票の結果を尊重する必要があるとの考えを示した。

ジョンソン氏はEUと条件などで合意できてもできなくても10月31日に離脱する立場を堅持しており、合意なき離脱の回避を主張する議員との対立が今後先鋭化する可能性がある。こうした中、ジョンソン氏は議会で内閣不信任案が可決された場合でも確実にEUを離脱するよう、辞任を離脱後に延期するとの報道も出ている。

ジョンソン首相は、内閣不信任案が可決された場合は辞任を受け入れるかとの記者団の質問に対し、「議会はEUを離脱するとの国民の意思を尊重する必要がある。議会は(離脱手続き開始に向け)EU基本条約(リスボン条約)50条の発動を決定した時点ですでに国民の意思を尊重していた」と述べた。

これに先立ち、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は首相側近の話として、ジョンソン首相は議会が内閣不信任案を可決した場合、EU離脱の数日後に総選挙を実施すると述べたと報じていた。

ジョンソン氏は、EU離脱前に解散総選挙を実施する可能性を問われ、有権者は16年の国民投票の結果を政治家が実行に移すことを望んでいると回答。政府はEUと鋭意交渉しており、離脱協定案に含まれるアイルランド国境管理を巡る「バックストップ(安全策)」条項が変更できれば、「良好なディールが得られる」と述べた。

その上で、政府は合意なき離脱にも備えるとしながらも、EUの「常識と良識」を踏まえると、合意なき離脱の確率は100万分の1程度に過ぎないと指摘。「EUが柔軟に対応する可能性はいくらでもある。時間もまだ残されており、EUは柔軟に対応すると確信している」と述べた。

[ロンドン 8日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



2019081320issue_cover200.jpg
※8月13&20日号(8月6日発売)は、「パックンのお笑い国際情勢入門」特集。お笑い芸人の政治的発言が問題視される日本。なぜダメなのか、不健全じゃないのか。ハーバード大卒のお笑い芸人、パックンがお笑い文化をマジメに研究! 日本人が知らなかった政治の見方をお届けします。目からウロコ、鼻からミルクの「危険人物図鑑」や、在日外国人4人による「世界のお笑い研究」座談会も。どうぞお楽しみください。

ニューズウィーク日本版 世界も「老害」戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月25日号(11月18日発売)は「世界も『老害』戦争」特集。アメリカやヨーロッパでも若者が高齢者の「犠牲」に

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドイツ経済、第4四半期は緩やかに成長 サービス主導

ワールド

資産差し押さえならベルギーとユーロクリアに法的措置

ワールド

和平計画、ウクライナと欧州が関与すべきとEU外相

ビジネス

ECB利下げ、大幅な見通しの変化必要=アイルランド
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 7
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中