最新記事

アメリカ政治

「米朝首脳会談は写真撮影のイベント」 米民主党大統領選候補ら、トランプを非難

2019年7月1日(月)09時09分

2020年の米大統領選への出馬を表明している民主党候補者らは30日、トランプ米大統領の呼び掛けで実現した北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との会談について、内容に欠ける上、残酷な独裁者を持ち上げたと批判した。写真は板門店で同日撮影(2019年 ロイター/Kevin Lamarque)

2020年の米大統領選への出馬を表明している民主党候補者らは30日、トランプ米大統領の呼び掛けで実現した北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との会談について、内容に欠ける上、残酷な独裁者を持ち上げたと批判した。

共和党出身のトランプ大統領は同日、現職の米国大統領として初めて北朝鮮に入り、南北の非武装地帯で3回目の米朝首脳会談を開催。核問題を巡る協議再開で合意した。

会談に先立ち両首脳は軍事境界線で面会して握手、トランプ大統領が金委員長と境界線を越えて北側に入り、その後、金委員長が境界線を越えて南側に入った。

トランプ大統領の直前の呼び掛けで実現した今回の会談について、ローマ法王など一部からは平和に向けた一歩と称える声が上がる一方、会談は宣伝行為に過ぎず、北朝鮮が非核化に向けた動きをほとんどみせない中でトランプ大統領は重要な機会を無駄にしたとの批判も聞かれる。

民主党の大統領候補指名を争う多くの候補者は、金委員長を含め、米国と敵対する人物と協議すること自体に問題はないとした上で、今回の米朝会談に関しては周到な準備と、北朝鮮の核問題に関する実質的な進展を踏まえた後に行うべきだったと指摘した。

エリザベス・ウォーレン上院議員は「大統領は、米国の影響力を残酷な独裁者との写真撮影や親書のやり取りで浪費すべきではない」とツイッターに投稿。

バーニー・サンダース上院議員とカマラ・ハリス上院議員も、今回の米朝会談を「写真撮影のイベント」と指摘した。

サンダース議員は、金委員長と会ったことについてトランプ大統領を責めることはないとしつつ、「大統領は国務省を弱体化させた。もし米国がこの世界に平和をもたらすつもりなら、力強い国務省が必要であり、写真撮影をするだけでなく、外交面で前進する必要がある」と述べた。

バイデン前副大統領の広報担当者は、トランプ大統領は米国の国家安全保障を犠牲にして、独裁者を「過度に丁寧に扱っている」と述べた。

候補者らはCNNやABC、CBSの番組でこれらの意見を述べた。

[ワシントン 30日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ南部オデーサに無人機攻撃、2人死亡・15

ビジネス

見通し実現なら利上げ、不確実性高く2%実現の確度で

ワールド

米下院、カリフォルニア州の環境規制承認取り消し法案

ワールド

韓国大統領代行が辞任、大統領選出馬の見通し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 10
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中