最新記事

個人情報

人気爆発の老け顔アプリFaceApp──ロシアに流れる顔データベースの危うさ

2019年7月22日(月)18時15分
安部かすみ

危ないFaceApp ABC-YouTube

<AIの画像認識技術をつかって写真の性別や年代を変えることができるアプリ「FaceApp」が、爆発的な人気を博していたが、その危ない利用ポリシーが問題になっている......>

最近ソーシャルメディアで頻繁に目にする、顔の変換(写真の加工)アプリは、AIの画像認識技術により、性別や年代の違う自分に出会えるとあって、アメリカでも大人気だ。

男女の入れ替えができたり、子ども時代に戻ることができる「Snapchat」や、未来の老人顔を予想する機能もある「フェイスアップ」(FaceApp)など、試したことのある人もいるだろう。

ブームを助長するのは、セレブたちだ。ドレイクやジョナス・ブラザーズら有名人が次々に老け顔フィルター機能を使った未来の肖像をInstagramにアップし、老け顔アピール。アプリはハッシュタグ「#faceappchallenge」などで爆発的に拡散中だ。

フェイスアプリの正確度はどれほどか

BBCは実際に、俳優イアン・マッケラン(80歳)やアーノルド・シュワルツェネッガー(71歳)などの20代のときの写真を使い、老け顔アプリの正確度を試す実験をしている。

それぞれの結果について、「75歳ごろの写真にそっくり」「許容範囲」とアプリの正確度について、まずまずと評価した。

筆者も幾度となくSNSに流れてくる画像を見るたびに、興味本位で思わずアプリをダウンロードしそうになったが、アップグレードの際に課金でもされ、面倒な解約作業にでもなってしまわないかと心配になり、いつも躊躇してしまっていた(ほかのアプリの事例では、高額課金被害は決して少なくない)。

しかし最近、「やっぱりインストールしなくてよかった」というニュースが報道された。

1億5千万以上の顔にアクセス可能に

7月17日、Forbes誌は「(まるでウィルス感染のように)瞬く間に広まったFaceApp 1億5,000万人以上の顔と名前にアクセス可能に」という見出しの記事を報じた。

同誌は、専門家の声として「世界中の1億人以上がGoogle Playからアプリをダウンロードし、121ヵ国のiOS App Storeで1位になっている。あなたがフォトギャラリーにアクセスすることを許可したFaceApp(開発業者はロシアのWireless Lab社)は、ユーザーの顔や名前など個人情報を取得し、それらをどんな目的に使うこともできる」と伝えた。

FaceAppの利用規約には、「あなたが当社のサービスを通して投稿したりシェアしたコンテンツや(名前などを含む)いかなる情報について、当社はユーザーに通知することなく商業化し、公開できる権利を持っている。それは、永続的で取り消し不能で、ロイヤリティフリーのライセンスである」と書かれていると同誌。

「そこにハッカーやロシア政府が万が一介入することにでもなったら、Facebookから収集されたデータベースなども使って、さらに事態は悪くなる」。ITセキュリティ専門家のアリエル・フューシュテッド氏のコメントとして、英Daily Mail紙が伝えた。同じくテクノロジー専門家、スティーブ・サマーティノ氏も「最悪の場合、顔データベースは、銀行情報などにアクセスできるデータとして使われることにもなりかねない」と警告している。

ウェブマガジンPhoneArena.comは、「あなたが登録した顔は、モスクワのどこかのビルボードに使われるかもしれないし、何らかのAI顔認識のアルゴリズムのために使われることになるでしょう」と伝えている。

ただForbes誌はFacebookの事例を引き合いにし、「プライバシーに関して随分と懸念されたFacebookだが、必ずしも全員の顔や個人情報が公に晒されるわけではないだろう」とした。

そして「それでも収集されたデータが漏洩を回避するために、安全な場所にきちんと保存されているか否かについて、我々は知る由もないが」と結論づけている。

これらの懸念を受け、米民主党のチャック・シューマー上院議員は17日、FaceAppがアメリカ国民に与えるプライバシーやセキュリティの安全性について、FBIに調査を求める要請を出している。

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米下院、1.9兆ドルのコロナ法案可決 上院は時給引

ワールド

ミャンマー国連大使、異例のクーデター非難 国際社会

ワールド

バイデン米大統領、テキサス州訪問 寒波の被害状況視

ワールド

米大統領、報復空爆でイランに警告 「罰を免れること

MAGAZINE

特集:ルポ新型コロナ 医療非崩壊

2021年3月 2日号(2/24発売)

第3波の日本で「通常」の医療体制は崩壊したが現場には硬直した体制を変え命を守った人々もいた

人気ランキング

  • 1

    バブルは弾けた

  • 2

    がら空きのコロナ予防接種センター、貴重なワクチンは余って山積み──イギリスに負けたEUの失敗

  • 3

    トルコ宗務庁がトルコの有名なお土産「ナザール・ボンジュウ」を許されないとした理由

  • 4

    弁護士の平均年収は4割減 過去十年で年収が上がった…

  • 5

    コロナ危機が招いた株価バブルは2021年に終わる

  • 6

    タイガーが暴露症の女ばかり選んだ理由(アーカイブ…

  • 7

    大口投資家がビットコインの買い占めに走り、個人投…

  • 8

    日本の電波行政を歪めている真犯人はだれか?

  • 9

    株価が上がっているのに、「価値の下がっているモノ…

  • 10

    ビットコイン暴落、投資家は「全てを失う覚悟を」(…

  • 1

    屋外トイレに座った女性、「下から」尻を襲われる。犯人はクマ!──アラスカ

  • 2

    中国はアメリカを抜く経済大国にはなれない

  • 3

    バブルは弾けた

  • 4

    がら空きのコロナ予防接種センター、貴重なワクチン…

  • 5

    トランプにうんざりの共和党員が大量離党 右傾化に…

  • 6

    動画で見る、トランプ時代の終焉の象徴

  • 7

    弁護士の平均年収は4割減 過去十年で年収が上がった…

  • 8

    あらゆる動物の急所食いちぎり去勢も? 地上最凶の…

  • 9

    アメリカの顔をした中国企業 Zoomとクラブハウスの…

  • 10

    強大化する中国を前に日米豪印「クアッド」が無力な…

  • 1

    フィット感で人気の「ウレタンマスク」本当のヤバさ ウイルス専門家の徹底検証で新事実

  • 2

    ロシアの工場跡をうろつく青く変色した犬の群れ

  • 3

    屋外トイレに座った女性、「下から」尻を襲われる。犯人はクマ!──アラスカ

  • 4

    さようならトランプ、負債3億ドルと数々の訴訟、捜査…

  • 5

    新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」…

  • 6

    韓国メディアが連日報道、米日豪印「クアッド」に英…

  • 7

    中国はアメリカを抜く経済大国にはなれない

  • 8

    全身が泥で覆われた古代エジプト時代のミイラが初め…

  • 9

    バブルは弾けた

  • 10

    現役医師が断言、日本の「ゆるいコロナ対策」が多くの…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

投資特集 2021年に始める資産形成 英会話特集 Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2021年2月
  • 2021年1月
  • 2020年12月
  • 2020年11月
  • 2020年10月
  • 2020年9月