最新記事

プラスチック

年間12万個のプラスチック片を口にしている私たち

2019年6月11日(火)17時50分
松丸さとみ

飲み水からもマイクロプラスチックが体内に...... kieferpix-iStock

<カナダの研究者は、人は平均で5万個近くのマイクロプラスチックを食事から、呼吸と一緒に吸い込んでいるものまで含めると年間12万個を体内に入れていると算出した>

食事や空気、飲み水からプラスチック片を体内に

私たちは毎年、7万〜12万個のマイクロプラスチックを口に入れている──こんなショッキングな数字がこのほど明らかになった。しかもこれは、一部の食べ物に含まれるマイクロプラスチックだけを述べたもので、1日の食事の消費エネルギーに換算した場合、わずか15%相当の食べ物に含まれるものだ。

調査は、魚、貝類、砂糖、塩、ビール、水、都市部の空気などに含まれるマイクロプラスチックの数を測定した過去の26の研究をもとに、カナダのビクトリア大学の研究者らがマイクロプラスチックのデータベースを作成した上で算出した。結果は米科学誌「エンバイロメンタル・サイエンス&テクノロジー」に掲載されている。

調査によると、人は平均で3万9000〜5万2000個のマイクロプラスチックを食事から体内に取り込んでいる。この数は、年齢や性別によって異なり、また米国の食生活をベースに数字を算出しているため、住んでいる場所や食事の内容によっても大きく異なるという。

さらに、呼吸と一緒に吸い込んでいるものまで含めると、体内に入るマイクロプラスチックの数は年間で7万4000〜12万1000個にまで上がると考えられている。

ボトル入り飲料水9万個、水道水4000個のプラ片

飲み水からも大量のマイクロプラスチックが体内に入っている。昨年8月に本サイトでも取り上げた通り、ボトル入り飲料水にはマイクロプラスチックが含まれていることが分かっている。本調査でも、水分の摂取をボトル入り飲料水だけでまかなった場合、年間で9万個ものマイクロプラスチックを飲み込んでいる計算になるとしている。一方で水道水の場合は、年間4000個だ。

科学系ニュースサイト「サイエンス・アラート」によると、成人男性が1日にボトル入り飲料水だけから水分を摂取した場合、1日349個のマイクロプラスチックを取り入れている計算になる。水道水だけを飲んだ場合は16個だ。

今回の調査は、前述した項目に含まれているマイクロプラスチックだけについて述べたものだ。サイエンス・アラートは、肉、乳製品、穀物(パンを含む)、野菜についてのデータはまだ存在しないため、今回の結果は「おおよその数値でしかない」としている。

調査を率いたキーラン・コックス氏は英ガーディアン紙に対し、調査の対象となっていない食物にも多くのマイクロプラスチックが含まれている可能性は非常に高いとし、「数十万という数字になるかもしれない」と話した。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

香港紙創業者に懲役20年、国安法裁判 国際社会は強

ビジネス

中国の証取、優良上場企業のリファイナンス支援 審査

ビジネス

欧州、ユーロの国際的役割拡大に備えを=オーストリア

ワールド

キューバの燃料事情は「危機的」とロシア、米の締め付
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 2
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 3
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日本をどうしたいのか
  • 4
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    「二度と見せるな」と大炎上...女性の「密着レギンス…
  • 8
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 9
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本…
  • 10
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 7
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 8
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 9
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 10
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中