最新記事

意見書

プラットフォーマーの従業員が、次々と経営陣への意見書を公開

2019年4月12日(金)15時45分
佐藤由紀子

2018年、シアトルの新本社ビル「Amazon Spheres」のオープンを祝うジェフ・ベゾス。この建物は温室構造で、世界中から4万本以上の植物を集めている...... Lindsey Wasson-REUTERS

<Amazonの従業員が、ジェフ・ベゾスCEOと取締役会宛の意見書を公開。これに署名する従業員が増え続けている。また、昨年からgoogle、MSでも同様の動きがある......>

Amazonの従業員4500人が経営陣に意見書

Amazonの従業員が、実名の署名を添えたジェフ・ベゾスCEOと取締役会宛の意見書を米ブログサイトMediumで公開し、Twitterで告知した。署名する従業員は公開後も増え続け、4500人以上になっている。

Amazonの従業員がこうした形で情報発信するのはこれがはじめてだ。Amazonの全従業員数は2018年末時点で約65万人であり、署名したのは全従業員の0.7%にも満たないが、複数のメディアが紹介し、注目を集めた。

内容は、「企業として顧客第一主義を掲げるなら、顧客を守るために気候変動対策にもっと真摯に取り組むべき」というもの。化石燃料利用の完全停止など、6つの原則を掲げ、それを企業目標とするよう求めている。

GoogleやMicrosoftの従業員も、さまざまな公開嘆願書

このように、大企業の従業員がソーシャルメディアを使って経営陣に問題提起する動きが増えている。最初の成功例は、米Googleの従業員が2018年の4月、同社が米国防総省とAIを軍事的に利用する契約を結んだことに抗議する公開請願書をスンダー・ピチャイCEOに送り、結果的に契約更新を断念させたことだった。

Googleの従業員らはその後、職場環境の改善を求める抗議デモを行い、ある程度の成果を引き出した他、幾つかの実績を上げている。

Microsoftでも2月に、同社のMR(拡張現実)ヘッドセット「HoloLens」を軍事利用する動きに従業員が署名運動で抗議した(こちらはまだ結果は出ていない)。

Twitterを使って意見書を公開するという方法

いずれのケースも、コアになる数人の従業員がTwitterのアカウントを作って意見書や抗議文を公開するという流れだ。

実名で抗議することには高いリスクが伴うが、社会的意義のあるテーマで世間の注目を集められれば、企業側も何らかの対応をせざるを得なくなるのが成功のポイントだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

壁際なのに「窓側料金」、乗客がデルタとユナイテッド

ワールド

ネタニヤフ氏「豪首相は弱い政治家」、ユダヤ人社会見

ビジネス

英7月小売売上高の公表を2週間延期、内容精査理由に

ビジネス

日経平均は続落で寄り付く、米ハイテク株安で半導体関
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 3
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家のプールを占拠する「巨大な黒いシルエット」にネット戦慄
  • 4
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 7
    広大な駐車場が一面、墓場に...ヨーロッパの山火事、…
  • 8
    【クイズ】沖縄にも生息、人を襲うことも...「最恐の…
  • 9
    時速600キロ、中国の超高速リニアが直面する課題「ト…
  • 10
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 6
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 7
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 8
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中