最新記事

ポピュリズム

ウクライナ大統領選、政治経験ゼロの人気芸人が現職リードし決戦投票へ

2019年4月1日(月)15時56分

ウクライナ大統領選で、出口調査や暫定開票結果によると、人気コメディアンで政治経験がないボロディミル・ゼレンスキー氏(41、写真)が現職を引き離して首位に立った。決選投票に進む見通し。キエフで撮影(2019年 ロイター/Valentyn Ogirenko)

3月31日実施のウクライナ大統領選で、出口調査や暫定開票結果によると、人気コメディアンで政治経験がないボロディミル・ゼレンスキー氏(41)が現職を引き離して首位に立った。決選投票に進む見通し。

出口調査によると、投票終了から3時間後の2000GMT(日本時間4月1日午前5時)時点でゼレンスキー氏の得票率は30.6%と、現職ポロシェンコ大統領の17.8%を大きく上回った。

ユリア・ティモシェンコ元首相は14.2%で3位につけた。同氏は出口調査の結果に疑問を呈しており、最終結果について異議を申し立てる可能性があるとしている。

開票率9%の時点の暫定開票結果でも3人の順位は同じだった。

ゼレンスキー氏は人気テレビドラマで架空の大統領を演じている。政治家としての能力は未知数で、政策に詳しくないとの批判の声もある。

どの候補者も過半数を得ることはないとみられており、4月21日に決選投票が行われることがほぼ確定した。候補者の数は39人に上ったが、上位3位全員がロシアの影響下に再び入ることに反対している。

ゼレンスキー氏は31日夜、支持者らに謝意を表明した上で「これは単なる始まりで、ここで気を緩めはしない」と述べた。同氏はリラックスしたスタイルの選挙戦を展開。31日夜の集会場所では無料で酒が振る舞われ、卓球場なども設置されていた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ポロシェンコ大統領は選挙結果は若い世代の有権者などから受けた「厳しい教訓」だとコメントし、決選投票では自身に投票するよう若い世代に呼び掛けた。

「この国は変化しているが、さらに迅速で踏み込んだ高質の変革が求められている」と表明。ゼレンスキー氏については、ロシアのプーチン大統領などとの国際協議でウクライナを代表するには適任ではないと訴えた。

投資銀行エキゾティクスのソブリン・債券リサーチ責任者スチュアート・カルバーハウス氏は、ゼレンスキー氏は企業首脳と会合し、伝統的な経済政策について語ることで政治家らしく振る舞おうとしたと指摘。「公式な開票結果で出口調査の結果が確定した場合、ゼレンスキー氏には決選投票までに公約を肉付けするさらなる圧力がかかることになる見込み」と述べた。

[キエフ 31日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 世界も「老害」戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月25日号(11月18日発売)は「世界も『老害』戦争」特集。アメリカやヨーロッパでも若者が高齢者の「犠牲」に

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英CPI、10月3.6%に鈍化 12月利下げ観測

ビジネス

エア・インディア、中国・新疆ウイグル自治区上空の飛

ビジネス

東京海上、純利益予想を下方修正 外貨間為替影響やア

ビジネス

農林中金、4ー9月期の純利益846億円 会社予想上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 10
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中