最新記事

性犯罪

女が醜いからレイプ男は無罪?

'Too Ugly To Be Raped'

2019年4月11日(木)16時50分
デービッド・ブレナン

あなたは不美人だからレイプなんかされたはずはない、と言われたら?  AntonioGuillem/iStock.

<レイプで訴えられた容疑者は、被害女性は「レイプするには醜すぎる」と言い、判事も「マッチョすぎて、レイプされたというのは信じがたい」と同調。まるで中世の判決だと、非難されていた>

イタリアの最高裁は、レイプしたか否かの判断に被害者の美醜は関係ないという判断を示した。被害を訴えた女性は「レイプするには醜すぎる」のでやっていない、とした容疑者2人の主張に同調し、無罪とした2017年の悪名高い判決を覆すものだ。

英ガーディアン紙によればこれは、22歳のペルー人女性が2015年3月に2人の南米人男性にレイプされたとして告発した事件。2人の男は2016年にいったん有罪判決を受けたが、控訴した。そして2017年11月、無罪判決が下った。3人の女性判事が、被害女性はマッチョな体形をしていて、レイプされたという訴えは信用できないと主張したため。

ローマの最高裁は先月、その無罪判決を破棄して控訴審に差し戻し、4月9日にこの判断の理由を説明した。それによれば、被害者の外見は「まったく無関係」で、証言の信用性を評価する基準にもならないと述べた。

被害女性の主張では、2人の容疑者は彼女の飲み物に何かを混入しておいて、彼女をレイプした。その間、男の1人は見張りにあたったという。医師たちは、彼女の怪我がレイプによる怪我と一致すると証言した。彼女の血液からは、デートレイプ薬の痕跡も発見された。

男たちを無罪にした判事は、被害女性の容姿と、「魅力は感じなかった」という容疑者たちの言葉を根拠に彼らを無罪とした。容疑者の1人が彼女に「海賊」というあだ名をつけているという証言もあった。

控訴審の判事らは、「熱狂的な夜を企画」したのは「被害女性」自身だった「可能性も捨てきれない」とし、容疑者が性的に彼女に魅かれるにはガッチリしすぎていて、レイプされたという証言は疑わしいと言った。

この判決にイタリアでは抗議デモが起こり、多くの市民が女性に対する暴力を非難し、この判決を「まるで中世」と怒りを表した。レイプかレイプではないかの判断を狂わす驚くべき偏見は今もまかり通っている。今回是正されたとはいえ、まだまだ氷山の一角だ。

20190416cover-200.jpg

※4月16日号(4月9日発売)は「世界が見た『令和』」特集。新たな日本の針路を、世界はこう予測する。令和ニッポンに寄せられる期待と不安は――。寄稿:キャロル・グラック(コロンビア大学教授)、パックン(芸人)、ミンシン・ペイ(在米中国人学者)、ピーター・タスカ(評論家)、グレン・カール(元CIA工作員)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米1月住宅建設業者指数37に低下、高価格と金利懸念

ワールド

トランプ氏、ハセット氏を「とどめたい」 FRB議長

ワールド

EUがウクライナ早期加盟検討、当初の権限限定 ロ和

ワールド

最高裁、次回判決日は20日 トランプ関税訴訟など重
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手がベネズエラ投資に慎重な理由
  • 3
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑について野次られ「中指を立てる」!
  • 4
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 5
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 6
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 7
    イランの大規模デモ弾圧を可能にした中国の監視技術─…
  • 8
    日中関係悪化は日本の経済、企業にどれほどの影響を…
  • 9
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 10
    122兆円の予算案の行方...なぜ高市首相は「積極財政…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 6
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 7
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 8
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 10
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中