最新記事

中国

Huaweiめぐり英中接近か──背後には華人富豪・李嘉誠

2019年2月22日(金)12時30分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

しかし、スパイ活動に最も敏感なはずのイギリスが、「Huawei製品のリスクを抑える方法があると結論づけた」ということは、実際上、「Huawei製品には情報漏洩のリスクはない」と結論付けたのと同じようなもの。もっとも正式な結果は今年3月か4月に出すらしい。

それでも、EU離脱で危機に晒されているイギリスは、李嘉誠の一声で必ずHuaweiを選ぶにちがいない。

となると、ファイブ・アイズの構図が崩壊することにつながる。

ファイブ・アイズとは、「アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド」の5ヵ国が加盟する諜報協定の通称で、各加盟国の諜報機関が傍受した盗聴内容や盗聴設備などを共有するために第二次世界大戦中に締結された。ドイツの通信暗号エニグマを解読するのが初期の目的だった。第二次世界大戦は終結したのだから、今さらファイブ・アイズもないだろうとは思うが、それとなく緩い関係で今でも「同盟国」として幻のようなネットワークを構成している。

しかし、その「同盟国」であるはずのイギリスがHuaweiの5Gシステムを利用するのであれば、ファイブ・アイズ構図は、Huawei問題を通して崩壊していくことになるかもしれない。

トランプ大統領が、習近平国家主席の野望である国家戦略「中国製造2025」を阻止しなければアメリカが世界のトップの座から転落することに気づいて、対中強硬策に出始めたことは高く評価したい。何と言っても言論弾圧をしている国が世界を制覇することだけは阻止してほしいからだ。

攻撃する相手が少し違うのでは?

しかし、Huaweiは民間企業で、中国政府が指定した(監視社会を強化するための)AIに関する5大企業BATIS(Baidu、Alibaba、Tencent、Iflytek、Sense Time)の中にも入っていない。そのことは2月12日付のコラム「中国のAI巨大戦略と米中対立――中国政府指名5大企業の怪」に書いた通りだ。これら5大企業は中国政府に要求されるままに情報をすべて提供している。しかしHuaweiはその命令に従わないので、中国政府指定の企業には入っていないのである。

また昨年12月30日付のコラム「Huawei総裁はなぜ100人リストから排除されたのか?」で書いたように、改革開放40周年記念大会において、この40年間に中国の経済発展に寄与した民間企業の経営者など100人をリストアップして表彰したのだが、民間企業として最も功績が高いはずのHuaweiは、表彰される100人のリストには入っていなかった。

ニュース速報

ワールド

ドイツ上院、コロナ第3波の対策強化に向けた法案可決

ビジネス

バイデン氏、キャピタルゲイン増税提案へ 育児財源で

ビジネス

米ブラックストーン、第1四半期は大幅増益 資産売却

ワールド

米上院、アジア系への憎悪犯罪対策法案を超党派で可決

MAGAZINE

特集:歴史に学ぶ 感染症の終わり方

2021年4月27日号(4/20発売)

ペストやスペイン風邪など人類が過去に直面した疫病はどのような経過を経て収束したのか

人気ランキング

  • 1

    親日家女性の痛ましすぎる死──「日本は安全な国だと思ってた」母親らが会見で涙

  • 2

    大谷翔平は既にメジャー100年の歴史を覆し、アメリカの「頭の固い」ファンを黙らせた

  • 3

    中国ワクチン、有効率わずか50% 南米に動揺と失望が広がる

  • 4

    南シナ海で中国の空母の演習を「監視」する米海軍艦…

  • 5

    インドネシア海軍潜水艦、潜行中に消息不明に ドイ…

  • 6

    日米首脳会談で起きた3つのサプライズ

  • 7

    テスラ、中国の消費者に謝罪 モーターショー「ブー…

  • 8

    時価総額はついに1兆ドル! ビットコインのすさまじ…

  • 9

    今後、日本語は長くてくどくなる──コミュニケーショ…

  • 10

    「米軍は中国軍より弱い」とアメリカが主張する狙い…

  • 1

    「お金が貯まらない家庭の玄関先でよく見かける」1億円貯まる人は置かない『あるもの』とは

  • 2

    親日家女性の痛ましすぎる死──「日本は安全な国だと思ってた」母親らが会見で涙

  • 3

    ビットコインバブルは2021年ほぼ間違いなく崩壊する

  • 4

    脳の2割を失い女王に昇格 インドクワガタアリの驚く…

  • 5

    謎の未確認航空現象をとらえた動画が流出し、国防総…

  • 6

    大谷翔平は既にメジャー100年の歴史を覆し、アメリカ…

  • 7

    女子中学生がバスの扉に足を挟まれ、30秒間も道路を…

  • 8

    世界の銃の半分を所有するアメリカ人、お気に入りの…

  • 9

    史上初、ヒトとサルのハイブリッドの初期胚を培養 …

  • 10

    原発処理水の海洋放出「トリチウム水だから安全」の…

  • 1

    「お金が貯まらない家庭の玄関先でよく見かける」1億円貯まる人は置かない『あるもの』とは

  • 2

    太平洋上空の雲で史上最低気温、マイナス111度が観測される

  • 3

    観測されない「何か」が、太陽系に最も近いヒアデス星団を破壊した

  • 4

    「夜中に甘いものが食べたい!」 欲望に駆られたとき…

  • 5

    孤独を好み、孤独に強い......日本人は「孤独耐性」…

  • 6

    親日家女性の痛ましすぎる死──「日本は安全な国だと…

  • 7

    ブッダの言葉に学ぶ「攻撃的にディスってくる相手」…

  • 8

    カミカゼ・ドローンで戦況は一変 米軍「最強」の座…

  • 9

    硬貨大のブラックホールが地球を破壊する

  • 10

    ビットコインバブルは2021年ほぼ間違いなく崩壊する

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

投資特集 2021年に始める資産形成 英会話特集 Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メンバーシップ登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中

STORIES ARCHIVE

  • 2021年4月
  • 2021年3月
  • 2021年2月
  • 2021年1月
  • 2020年12月
  • 2020年11月