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宇宙開発

2019年、宇宙ビジネスを牽引するIoT衛星とは何か──日本も大学で研究開発

2019年2月7日(木)18時40分
秋山文野

日本の大学発IoT衛星

日本でIoT衛星サービスを実施するベンチャー企業はまだ現れていないが、大学ではすでに衛星IoTを活用した研究開発が行われている。

和歌山大学では、地上での通信が困難な山間部などにセンサーを設置し、インマルサット衛星などを使ってデータを収集する実証を進めている。土砂崩れによって川がせき止められてできた自然ダム(天然ダム)や農業用水の水位観測、河川の水位観測、イノシシ罠の監視や海水温の計測データ収集などが行われている。

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和歌山大学らのIoT衛星実証で、無線変調方式LoRaと無線ネットワーク規格LoRaWANの利用が始まっている。センサーを手作りし、安価で水に浮く樹脂製のあひるのおもちゃをケースとして地上に設置する。撮影:秋山文野

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「災害時の衛星利用は地球観測に偏りがちだが、通信手段としての宇宙利用を考えたい」とIoT衛星利用の実証を進める和歌山大学の秋山演亮教授。超小型衛星の開発企業、オービタルエンジニアリングと共にIoT研究会を開催している。撮影:秋山文野

衛星が周回しながら地上のセンサーのデータを収集していくシステムを、Store and Forward(ストア・アンド・フォワード)と呼ぶ。これを実証したのが東京大学開発による「たすき(TRICOM-1R・トリコム-ワン-アール)」だ。2018年にJAXAの超小型ロケットSS-520 5号機によって打ち上げられた「たすき」衛星は、免許を必要としない特定小電力無線局によるセンサー機器からの小さな電波を受信し、地上局に送信する実証を行った。

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