最新記事

移民

日本同様、米国も政府統計はいい加減? 移民の子引き離しが記録より「数千人」多い可能性

2019年1月18日(金)09時55分

1月17日、米保健福祉省(HHS)の監察総監室は、米政府によって親から引き離された移民の子どもがこれまでに分かっている数より「数千人」多い可能性があると指摘した。写真は移民の子供たちが収容されているテント。テキサス州トーニローで昨年6月撮影(2019年 ロイター/Mike Blake)

米保健福祉省(HHS)の監察総監室は17日、米政府によって親から引き離された移民の子どもがこれまでに分かっている数より「数千人」多い可能性があると指摘した。ただ、記録が不十分なため正確な数は依然不明という。

監察総監室は、米自由人権協会(ACLU)が昨年提起した、移民の親子引き離しを巡る集団訴訟に含まれていた2737人よりも、かなり多いことが判明したとしている。

トランプ政権が実施した不法移民に原則として刑事罰を科す「ゼロ寛容(zero tolerance)」政策により、多くの親子が引き離された。トランプ大統領はこの状況に批判が広がったことを受け、昨年6月に不法入国した親子を引き離して拘束する措置をやめ、一緒に収容することを定める大統領令に署名した。

しかし監察総監室によると、政府は「ゼロ寛容」政策が発表される前の2017年から、子どもの安全や健康など別の理由で、犯罪歴のある親や適切な書類を持たない親からの子引き離しを強化していた。

また、トランプ氏の大統領令署名後も、18年7月1日から11月7日の間に27人の5歳未満を含む少なくとも118人の移民の子が親から引き離されたという。

ロイターは6月、「ゼロ寛容」政策導入前の16年10月から18年2月までに米国とメキシコの国境で1800近い移民の家族が引き離されたと報じた。

ただ、これは非公式な集計データで監察総監室が正確な数を把握するのは不可能だ。

監察総監室のリポートを受け、議会民主党はすでに問題の調査を開始し、公聴会を計画していることを明らかにした。

[ニューヨーク 17日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 大森元貴「言葉の力」
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月15日号(7月8日発売)は「大森元貴『言葉の力』」特集。[ロングインタビュー]時代を映すアーティスト・大森元貴/[特別寄稿]羽生結弦がつづる「私はこの歌に救われた」


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独VW、中国合弁工場閉鎖へ 生産すでに停止=独紙

ビジネス

ECB、ディスインフレ傾向強まれば金融緩和継続を=

ワールド

米中外相がマレーシアで会談、対面での初協議

ワールド

米政府、大規模人員削減加速へ 最高裁の判断受け=関
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 6
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 7
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 8
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 9
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 10
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中