最新記事

マレーシア

マレーシア国王、ロシア美女へ愛を捧げ電撃退位

2019年1月8日(火)21時35分
大塚智彦(PanAsiaNews)

モスクワ郊外のコンサートホールで結婚式を挙げたというムハマド5世国王とオクサーナ・ヴォエヴォジナさん facebookより

<敬虔なイスラム教徒が多いマレーシアだが、国王が愛を貫くため退位するという前代未聞の事件に国民は──>

マレーシア王室は2019年1月6日、同国のムハマド5世国王が同日付で国王を退位したことを明らかにした。マレーシアは政治的実権のない象徴的存在として国王が存在するが、1957年の独立以来、任期5年間の途中で国王が退位するのは初めての出来事であり、その理由を巡っていろいろな憶測が飛んでいる。

マレーシアの国王は、13州のうちスルタン制度(イスラム王侯)の残る9州のスルタンが持ち回りで就任することになっている。ムハマド5世は現在49歳、クランタン州のスルタンで、2016年12月第15代国王に就任した。国王としての任期は5年間の予定だった。

ところがムハマド5世は2018年11月から病気療養を理由に長期休暇に入り、ロシアなどに滞在していたとされ、さらにインターネットなどの情報によるとモスクワ郊外のバルビカにあるコンサートホールで11月22日にロシア人女性と結婚式を挙げたといわれている。

そのお相手がロシア人のオクサーナ・ヴォエヴォジナさんという25歳の女性。2015年にミス・モスクワに選ばれたという「美女」だ。

2人の結婚式の様子とされる写真もネットで広まり、マレーシアは敬虔なイスラム教徒の多い「イスラム教国」だけに批判が集中した結果、国王を退位することになったとも言われている。

2人の結婚式に参加したマレーシア人実業家のFacebookへの投稿より


政治的実権のないマレーシア国王

マレーシアといえば2018年5月の選挙で同国初の政権交代を実現させて首相に返り咲いたマハティール首相が国政を担っているが、そのマハティール首相の宣誓就任式を執り行ったのが国王ムハマド5世で、その様子は全世界に報じられた。

このようにマレーシアの国王は政治的な存在ではなく、首相や閣僚の就任宣誓を執り行うなど儀礼的な存在で、1957年の独立以来、原則として任期5年で引き継がれてきた。

マレーシアでスルタン制度が残るジョホール州、クダ州、クランタン州、ヌグリ・スンビラン州、パハン州、ペラ州、プルリス州、スランゴール州、トレンガヌ州の9州のスルタンが持ち回りで国王に就任することになっている。

今回ムハマド5世が国王退位を表明したことから1月6日以降はナズリン副国王が国王代行を務めている。今後4週間以内に次の国王を選ぶことになるが、パハン州のスルタンが次期国王に就任することが有力視されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インドGDP、7─9月期は前年同期比8.2%増 予

ワールド

今年の台湾GDP、15年ぶりの高成長に AI需要急

ビジネス

伊第3四半期GDP改定値、0.1%増に上方修正 輸

ビジネス

独失業者数、11月は前月比1000人増 予想下回る
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中