最新記事

インドネシア

体重600キロ、体長4.4mの巨大ワニが女性殺害 インドネシア、違法飼育の容疑で日本人を捜索

2019年1月17日(木)16時35分
大塚智彦(PanAsiaNews)

事件後、野生動物専門家らによって捕獲された「メリー」 現地メディアdetikcomのツイッターより

<危険な野生動物が生息しているインドネシアで、飼育係の女性がワニに襲われて死亡する事故が発生。どう猛なペットを飼っていたのは日本人だった>

インドネシア・スラウェシ島北部北スラウェシ州ミナハサ県にある日本人が経営する真珠養殖所でインドネシア人女性が巨大なワニに襲われて死亡する事件が起きていたことが明らかになった。

真珠養殖所で働くインドネシア人女性のディアジー・トゥオさん(44)は養殖所で飼育されているいろいろな動物の飼育も任されており、養殖所の池でワニに餌をやる仕事もしていた。

養殖所の池には体重600キロ、体長4.4メートルの巨大なワニが「飼育」されており、ワニは「メリー」と名付けられていた。

1月10日にディアジーさんはエサやりなどの通常業務に出かけたところを同僚に目撃されたのを最後に行方がわからなくなった。翌日11日に同僚がディアジーさんを探していたところ、池の中にメリーがいて、付近の水面にディアジーさんの遺体が浮いていたという。

直ちに通報を受けた地元トモホン警察の警察官が駆けつけて遺体を収容し。検視したところ、両腕や腹部の一部が欠損しており、メリーに食べられて殺害されたものと判断された。

地元警察はディアジーさんが水際からエサをメリーにあげようとしたところ、何らかの拍子で池に転落し、メリーに襲われた可能性が高いとみてさらに捜査を進めている。

遺体の両腕や腹部の一部だけが食べられたのは「たぶんメリーが満腹状態だったので(ディアジーさんの)腕と腹部だけ食べて満足し、全身は食べ残されたのだろう」とみている。

ワニを飼っていた日本人経営者、刑事訴追も

地元トモホン警察では事故のあった真珠養殖所を経営しているという日本人の行方を捜索している。ワニはこの日本人が個人的に真珠養殖所敷地内の池で飼育していたとされ、ワニなどの危険な野生動物を私有地で飼育する場合には特別な許可が必要であることから、適正な許可を受けていたかどうかを捜査する。

そのうえで「もし適正な許可を日本人が受けていなかった場合には、刑事訴追の可能性もある」として人命が失われた事故だけに厳しく対処する考えを示している。

ディアジーさん殺害の「実行犯」であるワニのメリーは事件後、野生動物専門家や警察官、国軍兵士、地元自治体関係者など約25人からなるチームによって捕獲作業が行われた。専門家によって麻酔注射を打たれながらのたうち回るメリーを動けないようにがんじがらめに縛り上げて確保された。今後、一般市民の居住地区から離れた自然保護地域で解放する予定という。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

カナダ首相、米国との関税協議継続 「反撃より対話」

ビジネス

ECB、インフレ目標乖離に過剰反応すべきでない=オ

ワールド

トランプ氏がプーチン氏と電話会談、17日にウ大統領

ワールド

イスラエルとハマス、合意違反と非難応酬 ラファ再開
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口減少を補うか
  • 2
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 3
    間取り図に「謎の空間」...封印されたスペースの正体は?
  • 4
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 5
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 8
    疲れたとき「心身ともにゆっくり休む」は逆効果?...…
  • 9
    ホワイトカラーの62%が「ブルーカラーに転職」を検討…
  • 10
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 1
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 4
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中