最新記事

米中貿易戦争

ファーウェイ事件で、米中ビジネス幹部の出張キャンセル急増「次は自分かも」

Huawei CFO’s Arrest Triggers US, China Business Execs To Cancel Overseas Trips

2018年12月12日(水)17時30分
コラゾン・ビクトリノ

カナダのバンクーバーで、孟の逮捕に抗議する中国人旅行者(11月10日) David Ryder-REUTERS

<中国フアーウェイCFOがアメリカの指示で逮捕されるという仰天事件の後、不安に捉われる米中エグゼクティブ>

米中貿易戦争を背景に華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟(マン・ワンジョウ)CFO(最高財務責任者)が、アメリカの指示によってカナダのバンクーバーで逮捕されたことを受け、アメリカと中国の企業幹部は、自分たちの逮捕を恐れて、相手国への出張旅行を相次ぎキャンセルしているという。複数のコンサルティング会社が12月11日に明らかにした。

香港を拠点とするセキュリティコンサルティング会社A2グローバル・リスクのマネージング・ディレクターを務めるブラッドリー・アレンによれば、先週末にかけて出張のキャンセルが急増したという。そのほとんどは、孟逮捕後、報復で中国当局に逮捕されることを懸念したアメリカ人だ。

マーケティングコンサルティング会社CMRチャイナのマネージング・ディレクターを務めるショーン・レインによれば、「日経アジアンレビュー」に対し、アメリカ企業の幹部の多くは中国が孟逮捕に対する報復をしてくることを恐れているという。

「カナダでファーウェイの孟晩舟が逮捕されて以降、上級幹部が出張中に遭遇しうるトラブルについて、アメリカ企業からの問い合わせが急増している」と、香港の政治リスクコンサルティング会社スティーブ・ビッカーズ・アンド・アソシエーツ(SVA)のスティーブ・ビッカーズCEO(最高経営責任者)は言う。事実、中国政府は、孟の逮捕に対して激しい怒りを表明している。

中国人は孟の二の舞を恐れる

一方で、中国の企業幹部も、米中間の緊張から、自分も米政府に逮捕されかねないと思っている。

12月1日に逮捕された孟は、11日に保釈を認められた。「ワシントン・ポスト」の報道によれば、孟の弁護士は、孟は健康状態がすぐれない上、逃亡の可能性もないとして、釈放を主張した。

ファーウェイは現在、世界最大の通信機器メーカーだ。世界2位のスマートフォンメーカーでもある。その孟が香港からメキシコに向かう途中のカナダで逮捕された。それも、中国の習近平国家主席とドナルド・トランプ米大統領がアルゼンチンで開催されたG20サミットで貿易戦争について議論を交わしていた同じ日に。

アメリカとカナダはいずれも、逮捕が報じられた5日以降、孟の件についてはほとんど語っていない。一方、中国はカナダに対し、孟を即座に釈放しなければ「深刻な結果」を招くことになると警告してきた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

エネルギー貯蔵、「ブームサイクル」突入も AI需要

ワールド

英保健相、スターマー首相降ろし否定 英国債・ポンド

ビジネス

ロシア、初の人民元建て国内債を12月発行 企業保有

ビジネス

再送-オリックス、純利益予想を上方修正 再エネの持
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 2
    ギザのピラミッドにあると言われていた「失われた入口」がついに発見!? 中には一体何が?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 6
    炎天下や寒空の下で何時間も立ちっぱなし......労働…
  • 7
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 8
    「流石にそっくり」...マイケル・ジャクソンを「実の…
  • 9
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中