最新記事

景気

世界経済のマイナスリスク顕在化か 日独7─9月期はマイナス成長へ

2018年11月13日(火)08時20分

11月9日、今週発表される日独両国の7─9月期国内総生産(GDP)はいずれもマイナスになる見込みだ。夕暮れの東京の高層ビル。2018年5月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

今週発表される日独両国の7─9月期国内総生産(GDP)はいずれもマイナスになる見込みだ。世界経済は成長のピークが既に過ぎ、全体として落ち込む危険が高まりつつあることを一段と証明する形になる。

日独のマイナス成長はともに一時的要因が影響したかもしれないが、経済の基調的な動きは弱く、先行きも世界的な貿易戦争の発生は言うに及ばずリスクだらけだ。

当面で考えれば、米経済が堅調に推移して2020年にはもう一度上向くとの見方が大勢なので、世界経済がマイナスに陥ると考えるエコノミストはほとんどいない。それでも世界的な景気サイクルは2017年を天井に成熟段階に差し掛かっている中で、下振れ方向のリスクが増大している。

UBSは調査リポートに「世界経済はまた大きなソフトパッチ(踊り場局面)を迎えつつあるようだ」と記し、ソフトパッチは一時的な現象だとみなしながらも「世界中のハードデータとソフトデータの悪化ぶりは、ユーロ圏危機以降で最も深刻になっている」と指摘した。

ABNアムロのチーフエコノミスト、ハン・デヨング氏は「米経済の成長は強く、物価は上振れているので、米連邦準備理事会(FRB)の政策は引き締まり続けている。残念ながら他の地域の経済は、米国の半分ほどの力強さもない」と語った。

同氏によると、そうしたFRBの引き締めが金融市場に及ぼしている影響が他の地域にとって大きな問題を生み出しているという。

ケース1:ドイツ

14日に発表されるドイツの7─9月期GDPは前期比0.1%減と、3年余りぶりのマイナスになると予想される。

エコノミストがその原因として挙げるのは、自動車業界が欧州連合(EU)の新排ガス測定基準への対応に苦戦し、何カ月も生産が抑制されている事態だ。年内には生産のボトルネックが解決し、プラス成長に戻るだろうという。

ただしそれはドイツ経済を巡る構図のごく一部にすぎない。コメルツ銀行は「この問題を除外しても、ドイツ経済は今年前半に比べて相当勢いが弱まった」と主張する。

新たな排ガス測定基準への対応とともに懸念されるのは足元輸出の失速かもしれない。そして世界的な貿易戦争リスクを踏まえれば、輸出が昨年の水準を急速かつ確実に取り戻す公算は乏しい。

ケース2:日本

内閣府が14日に発表する7─9月期GDP一次速報は前期比0.3%減と1─3月期以来のマイナス成長となりそうだ。

ドイツと同じく一時的な要因が主に作用し、日本の場合は台風や地震といった相次ぐ自然災害が響いた。もっとも、やはりその裏側には基調的な成長軌道の下振れが隠れている。

今年に入ってからの日本の成長率は1%強にとどまり、労働力の減少や財政的な支援の弱まり、金融政策による景気刺激効果の限界を考えれば、今後は経済成長がじりじりと下がっていく可能性がある。

モルガン・スタンレーMUFG証券はリサーチノートで、目先の10─12月期には小幅のプラス成長に回復するとの見方を示した。

(Balazs Koranyi記者)

[フランクフルト 9日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 「外国人問題」徹底研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年1月27号(1月20日発売)は「『外国人問題』徹底研究」特集。「外国人問題」は事実か錯覚か。移民/不動産/留学生/観光客/参政権/社会保障/治安――7つの争点を国際比較で大激論

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ大統領、来週にも次期FRB議長決定とベセン

ビジネス

内需を成長原動力にと習主席、先進的製造業の発展促進

ワールド

英政府、中国の大使館移設計画を承認 首相の訪中控え

ワールド

タイ中銀、外貨収入の本国送金規制を緩和 バーツ高対
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 2
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 3
    「耳の中に何かいる...」海で男性の耳に「まさかの生物」が侵入、恐怖映像と「意外な対処法」がSNSで話題に
  • 4
    「死ぬところだった...」旅行先で現地の子供に「超危…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    中国、欧米の一流メディアになりすまして大規模な影…
  • 7
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 10
    トランプが「NATOのアメリカ離れ」を加速させている…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 7
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 10
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中