最新記事

スポーツ文化

フランス人はなぜゴルフが好きになれないか

2018年10月2日(火)14時00分
広岡裕児(在仏ジャーナリスト)

ライダーカップで2大会ぶりにアメリカを下し、大喜びの欧州チーム。だがそこにフランス人選手はいない(9月30日) Carl Recine-REUTERS

<有名な欧米対抗のライダー・カップを由緒あるパリ郊外のゴルフ場で主催しながら、フランス人はまるで部外者のよう。この矛盾の理由は?>

9月28日から30日、ライダーカップがフランスで開かれた。2年に一度のアメリカ対ヨーロッパのゴルフ対抗戦で、仏ルモンド紙の言葉を借りれば「サッカーのワールドカップとオリンピックに次いで世界中にフォローされる第3のスポーツイベント」だ。とくに今年は、タイガー・ウッズが復活してアメリカ・チームに参加して注目された。

会場は、ベルサイユ宮殿の先、パリから車で1時間ほどのサンカンタン・アン・イブリーヌの「ル・ゴルフ・ナショナル」。通常「国立ゴルフ場」と訳されているが、正確には、フランスゴルフ連盟のゴルフ場である。ただし、「国立」といってもあながち誇張ではなく、1990年10月のオープン時には当時のスポーツ大臣が列席した。いわば、サッカーにおけるスタッド・ド・フランスに匹敵する国を代表する競技場である。2024年のオリンピックの会場になる。

開会式のあった27日、ルモンド紙電子版は、「なぜフランス人はゴルフが好きではないのか」という記事を配信した。

全仏のようなイベントがない

「1907年、アインシュタインが相対性理論を発表し、世界最初のヘリコプターが艱難辛苦の末に地面を離れて空中に浮いた年、ブリティッシュ・オープンで初めてフランス人、アルノー・マッシーが優勝した。でも誰もその名を知らない」──と、古い映像を使ってコミカルに始まるビデオで、フランスでゴルフの人気がない理由として次のことをあげている。

・フランス選手がまったく結果を出していない。4大メジャー大会では、先のアルノー・マッシーが優勝したほかは、2位が3人出ただけである。

・ゴルフ場が近くになく、遠くまで行かなければならない。ロンドンやエジンバラなどは町の中にあるのに。

・テニスにおけるロランギャロス(全仏オープン)のような衆目を集めるイベントがない。

・「金持ちのスポーツ」というイメージがある。道具、クラブ加入などお金がかかる。競技に時間がかかる。社会的成功のシンボルでもあるが、フランスではそれを誇示するのは嫌われる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

MAGA派グリーン議員、トランプ氏発言で危険にさら

ビジネス

テスラ、米生産で中国製部品の排除をサプライヤーに要

ビジネス

米政権文書、アリババが中国軍に技術協力と指摘=FT

ビジネス

エヌビディア決算にハイテク株の手掛かり求める展開に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 6
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 7
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 8
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中