最新記事

欧州

独メルケル首相の引退はEU改革に吉か凶か?

2018年10月31日(水)08時43分

 10月29日、メルケル独首相(写真)は、キリスト教民主同盟(CDU)が12月に開く党大会で党首として再選を目指さず、首相も4期目の現任期限りで退くと表明し、EU改革には急ブレーキがかかる事態になった。ベルリンで撮影(2018年 ロイター/Hannibal Hanschke)

メルケル独首相は29日、キリスト教民主同盟(CDU)が12月に開く党大会で党首として再選を目指さず、首相も4期目の現任期限りで退くと表明し、欧州連合(EU)改革には急ブレーキがかかる事態になった。ただ一部からは、最終的にドイツが欧州統合に向けて積極的な役割を果たすきっかけになるかもしれないとの期待が出ている。

EUの政策担当者や専門家の多くにとっては、今回の出来事はドイツの政治機能まひの長期化と、それに伴うさまざまな悪影響をもたらす公算が大きいと受け止められた。

独立系シンクタンク、ジャック・ドロール・インスティテュートのルーカス・グッテンバーグ副所長は「EUにしてみれば、メルケル氏の発表は12月の首脳会議で何か(合意)が必要な際に、考えられる最悪のタイミングで起きた」と述べた。

12月13─14日のEU首脳会議でマクロン仏大統領などは欧州統合強化に向けた新たな措置を決議したい考えだ。しかしメルケル氏は重要な政策案件について、その1週間前のCDU大会で選出された新党首の判断を仰ぐ必要があるかもしれない。

EU諸国の閣僚らは既に細かいルールの修正で合意しているが、ブレグジット(英のEU離脱)をにらんでより広範なEU改革を打ち出すというマクロン氏の構想は、かすまざるを得ない。

グッテンバーグ氏は「(現在の連立に手間取ったことで)メルケル氏が動ける余地は既にかなり限定されている。マクロン氏らにとっては決して良いニュースではない」と話した。

欧州で13年にわたって重要な仲介者となってきたメルケル氏の影響力後退で、今後各国首脳が新たな対立を解決するのが困難になりかねない面もあるだろう。

東欧諸国のある外交官は「ドイツの存在がなくなり、事態収拾はより難しくなる」と懸念する。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

イラン戦争は2週目に、トランプ氏「無条件降伏」求め

ビジネス

アングル:欧州で若者向け住宅購入の新ビジネス、価格

ワールド

焦点:道半ばの中国「社会保険改革」、企業にも個人に

ワールド

昨年の関税合意実施を米と確認、日本が不利にならない
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗雲...専門家「イランの反撃はこれから」「報道と実態にズレ」
  • 2
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力空母保有国へ
  • 3
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示さない
  • 4
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 5
    【WBC】侍ジャパン、大谷翔平人気が引き起こした球場…
  • 6
    女性の顔にできた「ニキビ」が実は......医師が「皮…
  • 7
    大江千里が語るコロナ後のニューヨーク、生と死がリ…
  • 8
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 9
    「みんな一斉に手を挙げて...」中国の航空会社のフラ…
  • 10
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 9
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中