最新記事

中国

習近平の「自力更生」は「中国製造2025」を達成することを指す

2018年10月24日(水)12時30分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

10月23日、中央テレビ局CCTVの「時政新聞眼」という番組は、習近平の広東視察を特集し、習近平が述べた以下の言葉で番組を締めくくっている。

――大国から強国になるには、必ず実体経済を発展させなければならず、いかなる時も実態から離れて虚構に走ってはならない。製造業は実体経済の中の一つの重要なキーで、必ず自力更生によって奮闘し、中国自身によるイノベーションを獲得していかなければならない。真に中華民族の偉大なる復興を目指すなら、自らがイノベーションを勝ち取っていく気骨と気概を持たなければならない。

「中国製造2025」発布直前から「自力更生」を提唱──人民網

中国共産党機関紙「人民日報」電子版「人民網」は、2015年2月16日に「習近平:コア技術は周辺に頼るな、自力更生あるのみだ」というタイトルの記事を掲載した。

「中国製造2025」が発布されたのは2015年5月。

しかし、10月23日付けコラム<背景には「中国製造2025」──習近平による人民の対日感情コントロール>に書いたように、2013年に習近平は既に「中国製造2025」に関して「製造強国戦略研究」という重大諮問プロジェクトを立ち上げている。2014年には答申を受けているので、2015年2月の時点で「中国製造2025」に関して「自力更生」を強調するのは当然のことだ。

「自力更生」の相手国が日本からアメリカに!

このとき「周辺に頼らない」としていた相手国は「日本」だった!

<背景には「中国製造2025」――習近平による人民の対日感情コントロール>に書いたように、発端は2012年9月の「反日デモ」で、「メイド・イン・チャイナ」か「メイド・イン・ジャパン」かが問題になったのだ。だからコア技術を「メイド・イン・チャイナ」に持っていくべく立てた国家戦略だった。

ところがアメリカにトランプ大統領が現れて、中国の国家戦略「中国製造2025」が持っている恐るべき狙いを見抜いてしまったものだから、トランプは猛然と「中国製造2025」を完遂させまいと中国への攻撃を始めた。武力攻撃をするわけにはいかないので、「貿易」という手段を使って中国の国家戦略を潰しにかかっているわけだ。

そうしないと、中国がやがて半導体産業というコア技術においても宇宙支配においても、そしてやがては軍事においてもアメリカを凌駕し、地球は中国の天下になると、トランプは警戒しているのである。

アメリカ・ファーストにより「再び偉大なるアメリカを取り戻す」と宣言したトランプは、なんとしても「中国製造2025」を潰したい。

「それならば」とばかりに、習近平は日本に近づいてきた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領、自身のSNSに投稿された人種差別

ビジネス

アングル:インド「高級水」市場が急成長、富裕層にブ

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、リスク資産反発受け 円は衆

ワールド

トランプ氏、インドへの25%追加関税撤廃 ロ産石油
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 2
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入った「最強ライバル」の名前
  • 3
    韓国ダークツーリズムが変わる 日本統治時代から「南山」、そして「ヘル・コリア」ツアーへ
  • 4
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本…
  • 5
    【台湾侵攻は実質不可能に】中国軍粛清で習近平体制…
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    日経平均5万4000円台でも東京ディズニー株は低迷...…
  • 8
    「こんなのアリ?」飛行機のファーストクラスで「巨…
  • 9
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 10
    心停止の8割は自宅で起きている──ドラマが広める危険…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 4
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 7
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 10
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中