最新記事

野生動物

ウガンダの母と子、ワニに食べられる

Crocodile Eats Mother and Her 5-Month-Old Child

2018年9月5日(水)15時24分
ブレンダン・コール

餌にする魚が少なくなってくると、ワニは水面に上がってきて人を襲う STR New/REUTERS

<湖のほとりへ飲料水をくみに来て襲われた。集団で人家を襲うワニもいる>

アフリカ東部の国ウガンダで8月31日、湖に水をくみに出かけた女性と生後5カ月の子どもがワニに食べられて命を落とした。地元当局は住民に対し、ワニのそばに近づかないよう注意を呼びかけている。

ワニに襲われたのは、カガディ県に住む女性、ジェスカ・カビイラ。アルバート湖畔に水をくみに行ったときに襲われた。

ワニが現れたとき、周囲の人々は一斉に逃げ出したが、カビイラとその赤ん坊は逃げ遅れてワニの餌食になったと、地元紙のデイリー・モニターは報じている。母子の遺体はいまだに回収できていない。ある目撃者はこう話している。「そばにいた者は母親を助けようとしたが、ワニが水の中に引きずり込んでしまった」

ウガンダでは飲料水の確保が難しく、野生動物に襲われる危険を冒しても水をくみに行かなければならない住民も多い。

人間を食べた仕返しに、ワニ292匹を虐殺したインドネシアの群衆


【関連記事】インドネシア、住民死亡の敵討ちでワニ292匹を虐殺 一番怖いのはヒトだった

ワニの群れが人家を襲う

ウガンダ野生動物局(UWA)の広報担当者バシール・ハンギは、英インディペンデント紙の取材にこうコメントした。「住民たちには人食いワニがいる一帯を避けるよう注意している。ワニは魚の繁殖地に生息するが、魚の数が減ってくると、水面に現れて人間を襲い、食べようとする」

ウガンダ東部のナマインゴ県では、ワニの群れが食料目当てにたびたび人家を襲うようになり、住民たちは今年、遂に家を捨てて逃げ出した。

ドルウェ副郡のジョン・ボスコ・ニェベンザ議長がデイリー・モニター紙に語ったところによれば、2017年には小学校の児童7人が人食いワニに殺される事件もあった。

UWA職員のピーター・オグワングによれば、こうした事例は増えている。2017年には、過去5年間に5人の人間を食べた体重700kgの人食いワニが、ビクトリア湖東岸で捕獲されたという。「私が今追っているワニは、家畜のヤギを32頭も食べた」

ウガンダ政府に対しては、水くみに来る人たちを守るための保護ケージを設置にすべきだと求める声も高まっている。井戸や水道の整備も急務だ。

(翻訳:ガリレオ)

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ドイツ予算委、500億ユーロ超の防衛契約承認 過去

ビジネス

「空飛ぶタクシー」の米ジョビ―、生産能力倍増へ 

ビジネス

ドイツ経済、26年は国内主導の回復に転換へ=IMK

ワールド

豪首相、ヘイトスピーチ対策強化を約束 ボンダイビー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中