最新記事

中国社会

米中貿易戦争、中国市民に広がる「反米不買」の声

2018年8月19日(日)11時58分

8月13日、一連の懲罰的な関税発表で米中貿易戦争をエスカレートさせているトランプ米大統領への中国当局者の対応はおおむね慎重で穏やかだが、北京や上海の街頭で感じる雰囲気は、もう少しピリピリしている。写真は北京で10日撮影(2018年 ロイター/Jason Lee)

トランプ米大統領はここ数週間、一連の懲罰的な関税導入を発表することで米中貿易戦争をエスカレートさせているが、中国当局者の対応はおおむね慎重で穏やかなものだ。

彼らは全般的に緊張を高めることを避け、特に好戦的コメントを発する役割は中国共産党の公式メディアに任せている。

だが、北京や上海の街頭で感じる雰囲気は、もう少しピリピリしている。

貿易戦争に対する懸念や中国政府の対応、そして米国製品がボイコットされる可能性について、ロイターが両都市を中心に、さまざまな属性の50人にインタビューしたところ、明らかな危機感やパニックは見受けられなかった。

中国政府が米国に対して取るべき対応については、意見の対立や混乱がみられた。政府は米国の国益に対して反撃すべきだという主張もあれば、どんな対応が可能か分からないという声もあった。

だが、中国市場に進出している米国企業にとって何よりも気がかりなのは、かなり少数派ではあるが50人中14人、つまり28%が「もう米国製品を買うのをやめたい」と考えており、一部はすでに米国製品をすべてボイコットしている、と答えたことだ。

それ以外の人々は、今後も米国製品の購入を続けるだろうが、将来的には変わるかもしれない、と述べてる。

もしこの結果が、中国国民の声を代弁しており、実際の行動が伴うならば、アップルのiPhone、ディズニー映画、スターバックスのドリンク、ゼネラルモーターズ(GM)の自動車などを筆頭とする米国製品の販売不振を招くかもしれない。それも、政府や活動家がけしかける不買運動がなくても、だ。

印象的だった北京五輪の開会式で、中国が愛国主義的な輝きに満たされてから10年、ナショナリズム感情はほぼ常に表面近くを漂っている。

今回の調査はサンプル数も非常に少なく、もちろん科学的なものではない。また中国では人々の警戒心が強く、外国メディアに本心を明かさないことも珍しくない。不適切と見られる個人的意見(習近平国家主席に対する批判などは、これに該当する)があれば、当局とのトラブルにつながりかねない。

とはいえ、インタビューを受けた50人が表明した意見は、単に好奇心をそそるというだけにはとどまらない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、米提案の停戦計画は「過度」 ホルムズ海峡の

ビジネス

メタ、複数部門で数百人を削減へ リアリティ・ラボな

ワールド

イラン、米停戦案に「前向きでない」 パキスタン経由

ワールド

米国防総省、軍需品増産で防衛3社と枠組み合意 ロッ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 2
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「日本産ミュージカルの夢」に賭ける理由【独占インタビュー】
  • 3
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆保険」を達成した中国の医療保険の実態とは
  • 4
    「有事の金」が下がる逆説 イラン戦争で市場に何が…
  • 5
    デンマーク王妃「帰郷」に沸騰...豪州訪問で浮かび上…
  • 6
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 7
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 8
    地上侵攻もありえる...イラン戦争が今後たどり得る「…
  • 9
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 10
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 1
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 3
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 6
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 9
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 10
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中