最新記事

異常気象

記録的猛暑の欧州 犬は靴をはき、原発は止まる...

2018年8月8日(水)13時16分
モーゲンスタン陽子

異変がつづく今年の猛暑 euronews-Youtube

<8月に入っても猛暑がつづくヨーロッパ各所で、さまざまな異変がおきている>

世界的な猛暑が続いている今年の夏。ヨーロッパでは4日、ポルトガル中部で46.4度、スペイン南部で45.1度を記録した。ヨーロッパの過去最高気温である1977年のギリシャでの48度には及ばなかったものの、各地で熱中症死者や山林火災などが続出。まだまだ警戒が必要だ。

熱波と干ばつで深刻な作物不足となり、農家や経済への影響も心配されている。そんななか、ヨーロッパ各地でふだん見られないようなめずらしい現象や活動もおこり、人々を驚かせている。

動物園のご飯はアイス、犬は靴を着用

まず、3日の記事にもあったとおり、スウェーデンでは北部のケブネカイセ山で、国内最高峰とされる南側の山頂部を覆っていた氷河が溶けて標高が約4メートルもダウン、もはや最高峰ではなくなってしまった。地球温暖化の象徴のような出来事だ。

ドイツ北東部のエルベ川では、干上がった川底から第二次世界大戦の弾薬がみつかり、警察が警戒を呼びかけている。ヨーロッパ北部のバルト海では水温の上昇により毒性のある海藻が大繁殖。沿岸のスウェーデン、ポーランド、リトアニアなどの人々は、いくら暑くても海水浴に行けない状況だ。



暑さに苦しんでいるのは人間だけではない。BBCによると、フランス南西部の動物園では、肉食獣に血のシャーベットや凍らせたミートボールを、草食獣には凍らせた果物ミックスなどを与えている。ロンドン動物園で人気者のゴリラは、くるみやひよこ豆、砂糖なしの果物のアイスがお気に入りのようだ。

水温が27度以上になると、ほとんどの水中生物は生存できない。スイスでは、先週水温が25度に達したドイツ・オーストリア国境のコンスタンツ湖(ボーデン湖)で業者が魚を冷たい水に集める努力をしている。またスイスの警察犬は、「オペレーション・ホット・ドッグ」というプロジェクトで、加熱した道路のとろけるようなアスファルトから足を保護するために靴を履かせてもらったようだ。スイス警察は一般家庭の犬にも靴を着用させることを奨励している。警官もTシャツとショートパンツの軽装になった。



さらに、オランダの高速道路は、高温で熱せられたアスファルトが溶けたことで、一部が閉鎖となり、フランスの原子炉は、冷却水として取水し、使用後に川に放出することで、川の水温がさらに上昇することを防ぐために、原子炉4基が停止した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英中銀が金利据え置き、量的引き締めペース縮小 長期

ワールド

台湾中銀、政策金利据え置き 成長予想引き上げも関税

ワールド

UAE、イスラエルがヨルダン川西岸併合なら外交関係

ワールド

シリア担当の米外交官が突然解任、クルド系武装組織巡
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 5
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中