最新記事

中国社会

崩れ落ちる中国経済 住宅ローン地獄で家計債務がリーマン危機前水準に

2018年8月2日(木)18時20分

憂慮すべき数値

厦門市における小売売上高は今年1─5月に前年同期比で9.2%増加したが、全国平均の9.5%を下回っており、前年同期に記録した12.1%から大幅な減速となった。

市統計局のデータによれば、市内の大手百貨店・スーパーの半数以上で第1・四半期の売上高が減少。また4月データでは、化粧品や宝飾品を含む裁量品目の支出が前年同月から低下している。

中国全体でも、1人当たり可処分所得の伸びは上半期に6.6%と、前年同期の7%から減速していることが、16日発表の統計で明らかになった。

一方、他の都市でも債務は積み上がっている。深センでは家計債務が同市GDPの79%、杭州でも同77%に達している。

中銀データに基づくロイターの分析によれば、最も債務が多いのは、中国経済を牽引してきた主要沿岸都市の住民であり、貯蓄に対する家計債務残高の比率が最も高いのは、4月末時点で110%を記録した福建省、次いで浙江省、広東省と続く。

上海財経大学の報告書では、可処分所得に対する中国の家計債務比率は、2017年末時点で78%だったと試算。現在のトレンドが続けば、2020年にはこの比率が100%を超え、グローバル金融危機前の米国が記録した水準に匹敵する、と同報告書は予想している。

また、中国で最も豊かな省に含まれる福建、広東、浙江の3省では、すでにこの比率が危機前の米国水準を上回っているという。

「お金を使う気になれない」と語る厦門市職員のYangさん。「住宅ローンが、わが家の2世代にわたる生活の質に影響を与えている」

(翻訳:エァクレーレン)

Stella Qiu and Elias Glenn

[厦門(中国)/北京 25日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 コメ高騰の真犯人
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月24日号(6月17日発売)は「コメ高騰の真犯人」特集。なぜコメの価格は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、G7日程切り上げ帰国へ 中東情勢に対応

ビジネス

日米関税交渉は延長戦、「認識なお一致せず」と石破首

ワールド

中国、国民のイスラエル出国促す 大使館「治安悪化」

ワールド

欧州外相がイランと電話会談、核協議復帰と紛争激化回
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 3
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染みだが、彼らは代わりにどの絵文字を使っている?
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 7
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 8
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    「そっと触れただけなのに...」客席乗務員から「辱め…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 4
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中