最新記事

ブレグジット

イギリス、対EU強硬派の2閣僚が辞任 政権に痛手もメイ首相は続投へ

2018年7月10日(火)08時29分

7月9日、英国のメイ首相は、欧州連合(EU)離脱案を巡りデービスEU離脱担当相とジョンソン外相の強硬派2閣僚が相次ぎ辞任したことを受け、自身を首相の座から追いやる動きに対抗する構えであること首相報道官が明らかにした。写真は6月28日、ブリュッセルで開かれたEU首脳会議に出席するメイ首相(2018年 ロイター/Virginia Mayo)

英国のジョンソン外相が9日、欧州連合(EU)離脱案を巡りメイ首相が目指す柔軟路線に反対して辞任した。前日にはデービスEU離脱担当相も同様の理由で辞任したばかり。来年3月にブレグジット(英のEU離脱)期限が迫る中での2閣僚の相次ぐ辞任は、メイ政権にとって痛手だ。

ジョンソン氏は辞表で、英政権がEU離脱後も緊密な通商関係を維持する方針を示したことにより、「われわれは植民地の境遇に向かっている」と警告。「ブレグジットは好機と希望であるはず」とした上で、「不要な自己不信に苦しめられ、ブレグジットの夢はついえようとしている」と述べた。

辞表を受け取ったメイ首相は、6日の閣僚会議でEU離脱を巡る自らの方針を巡りジョンソン氏ら内閣の合意を取り付けていたため、同氏の辞任に「若干の驚き」を覚えたとの認識を示した。

首相は、ジョンソン外相の後任にハント保健相を指名した。ハント氏は2016年のEU離脱の是非を問う国民投票でEU残留を支持していた。保健相の後任はハンコック文化相が務める。

EU離脱担当相を辞任したデービス氏は、メイ首相のEU離脱案を「EU側にあまりにも安易に妥協するもので、危険極まりない」と批判した。首相は新たなEU離脱担当相にドミニク・ラーブ議員を指名した。

首相は6日、別荘で行われたEU離脱に関する非公式の閣僚会議を開催。8時間にわたる討議を経て、自らの提案について内閣の合意を取り付けたはずだった。

EUからの完全な離脱を求める強硬派のデービス氏、ジョンソン氏の相次ぐ辞任で、与党内の強硬派が勢い付く可能性があったが、首相の交代を求める動きはない見通し。

両氏の辞任を受け、メイ首相は議会で保守党議員らと会い、自身の目指すブレグジット方針への支持を訴えた。多くの保守党議員が首相を支持する姿勢を示したという。



[ロンドン 9日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

202404300507issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が愛した日本アニメ30」特集。ジブリのほか、『鬼滅の刃』『AKIRA』『ドラゴンボール』『千年女優』『君の名は。』……[PLUS]北米を席巻する日本マンガ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ロイターネクスト:米第1四半期GDPは上方修正の可

ワールド

バイデン氏、半導体大手マイクロンへの補助金発表 最

ビジネス

米国株式市場=下落、予想下回るGDPが圧迫

ワールド

中国の対ロ支援、西側諸国との関係閉ざす=NATO事
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 3

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 4

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中