最新記事

欧州

混乱のイタリア政界、再選挙へ動く ユーロの是非問う事実上の国民投票に

2018年5月30日(水)09時00分

5月28日、イタリアで前週末、ユーロ懐疑派の連立政権樹立の試みがついえ去ったことで、単一通貨ユーロは窮地を脱したかに見えた。写真は2013年1月撮影(2018年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

イタリアで前週末、ユーロ懐疑派の連立政権樹立の試みがついえ去ったことで、単一通貨ユーロは窮地を脱したかに見えた。しかし同国の政治情勢を見ると、実はこれからユーロが集中砲火を浴びる場面が始まろうとしているようだ。

イタリアのマッタレッラ大統領は26日、大衆迎合主義(ポピュリズム)政党「五つ星運動」と極右「同盟」が推した首相候補ジュゼッペ・コンデ氏から提出された組閣名簿のうち、経済財務相にユーロ懐疑派のサボーナ元工業・民営化相を指名するのを拒否し、コンデ氏は組閣作業を断念した。

しかし五つ星運動と同盟は今、今年秋もしくは来年初めに実施されそうな再選挙を見据え、連携を模索しつつある。同盟を率いるサルビーニ書記長は「来たる選挙は政治的というより、真の意味での国民投票となる」と述べ、イタリアを自由の国にしたい人たちと、卑屈で奴隷のようにしたい人たちの間の争いになると指摘。「現在のイタリアは自由ではなく、お金の面でドイツ人、フランス人、ユーロ官僚に支配されている」と主張した。

ユーロ相場とイタリアの国債・株式は28日、いったん値上がりした。ところがコンデ氏の組閣断念で芽生えた安心感は、再選挙を巡る懸念に取って代わられ、イタリアとドイツの10年国債利回りスプレッドは4年余りぶりの高水準になった。

政治リスクコンサルティング会社ポリシー・ソナールを率いるフランチェスコ・ガリエッティ氏は「再選挙は、欧州連合(EU)とユーロに関する事実上の国民投票の様相を帯びる。ユーロ圏全体にとって本物の脅威だ」と憂慮した。

再選挙でイタリア国民がEUとユーロにノーを突き付ける場合、欧州にとっては2年前、英国民投票でEU離脱派が勝利し、ユーロの将来に疑問を投げ掛けて以来の深刻な試練になる。

またイタリア経済はユーロ圏3位の規模で、膨大な債務を抱えているという面では、ユーロにとってはギリシャ危機よりもずっと大きな脅威になりかねない。

実際いくつかの世論調査では、3月4日の総選挙で得票率17%を記録した同盟の支持率は、最高で24%まで上昇してきた。五つ星運動の支持率も総選挙時の得票率の32%前後を維持している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アンソロピックが追加サービス公表、外部主要ソフトと

ワールド

米政権、10%の代替関税発動 15%への引き上げ方

ワールド

アンソロピック、AI軍事利用の制限緩和しない意向=

ワールド

米国務省、ロシア攻撃で米の利益損なわないよう警告 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 5
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 8
    「極めて危険」──ゼレンスキー、ロシアにおける北朝…
  • 9
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 10
    武士はロマンで戦ったわけではない...命を懸けた「損…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中