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「北の急変は中国の影響」なのか?──トランプ発言を検証する(後編)

2018年5月21日(月)16時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

Q:彼らの目的は北朝鮮経済において改革開放を進めるに当たって、中国の経験を学ぶことにあったと、15日でしたか、外交部の報道官が明らかにしましたね。

A:まさに、その通りだ。中国としては北朝鮮に改革開放を進めてほしいので、そのためには核やミサイル開発をやめて、アメリカとの軍事衝突も起こさない方向に動いてほしいと思うのは一貫している。

金正恩大連訪問の目的は?

Q:では5月7日と8日の、金正恩の大連訪問の最大の目的は何だったのでしょうか?経済提携ではないでしょう?

A:いや、それもあるが、主たる目的は9日にアメリカのポンペイオ長官が訪朝するので、どう対応すべきかということに関してのアドバイスを、何度もアメリカの大統領と会っている習近平に求めるためだったのだろうと解釈している。そうじゃないと、金正恩があんなに急いで中国再訪をする必要はなかっただろうから。でも、心配するほどのこともなく、ポンペイオと金正恩は、案外気が合うんじゃないのかな。あの日の2人の会談はうまくいったと聞いている。それに同じ日に習近平はトランプに電話して、ストレートに金正恩の考え方をトランプに伝えて、「朝鮮が主張する段階的非核化に関しても少し理解を示した方がいいのではないか」と求めた。二人は完全な非核化まで北への制裁は緩和しないことで一致したじゃないか。

米韓合同軍事演習が金正恩の心を変えた

Q:そうですね、たしかに。5月9日までは順調に動いていて、北の急変兆候は特になかったと思います。だとすれば、金正恩が急変したのは、11日から米韓合同軍事演習が始まったことに関係することになりますね。

A:その通りだ!平昌五輪やその直後の米韓合同軍事演習が抑制的だったので、「その範囲内の演習なら当面認める」と金正恩は言っていたのに、5月11日から始まったマックス・サンダーではF-22戦闘機が2機も増え、おまけにB-52戦略爆撃機も投入することが予定されていることを知った。だから突如、対話路線に対する態度を急変させたのではないのか。7,8日の大連会談とはいかなる関係もない。15日に金正恩はわざと南北閣僚級会談をすると言っておいてから16日にそれを中止するという嫌味を見せた。それが中国といかなる関係があるって言うんだい?あれは金正恩の独特のやり方だよ。

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