最新記事

選挙

イギリス地方選、メイ首相の保守党ロンドンで敗北免れ 労働党苦戦

2018年5月7日(月)13時51分

5月4日、英国で地方選が行われ、メイ首相(写真)率いる保守党はロンドンで敗北を免れたほか、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)の支持層の多い選挙区で議席数をわずかに伸ばした。写真は4日英ダドリーでの代表撮影(2018年/ロイター)

英国で4日地方選が行われ、メイ首相率いる保守党はロンドンで敗北を免れたほか、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)の支持層の多い選挙区で議席数をわずかに伸ばした。一方、労働党は大勝の期待に応えられなかった。

EU離脱戦略を巡り議会が首相に反発する可能性が出ている中、今回の選挙は、首相に対する国民からの支持のバロメーターとなった。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で政治学を担当するトニー・トラバース教授は「8年政権にあった政府なら期待できる程度には良い結果」と分析。「メイ首相と保守党は概して安堵(あんど)しているだろう。保守党はブレグジットを巡る断続的な内戦状態に陥っているものの、(最大野党である)労働党の問題はそれよりもっと悪いということを示唆しているからだ」と述べた。

労働党は期待が高まっていたにもかかわらず、ジェレミー・コービン党首の下での最近の支持率回復が頭打ちになっていることを示す結果となった。

ロンドンでは32区で投票が行われ、保守党はサッチャー政権以降牙城としているワンズワース区で引き続き優位を維持した。トラバース教授は「労働党は、有権者をより広範に納得させていることを示すためには、地方選でもっと善戦しなければならなくなるだろう」と述べた。保守党は政治的中心地のウェストミンスター区でも優位を堅持した。

与党は地方選で苦戦する傾向があり、事前調査では保守党が9年ぶりに敗北を喫するとの予想が出ていた。

ロンドン以外では、ブレグジット支持層の多い東部ピーターバラと南東部バジルドンで、保守党が反EUを掲げる英国独立党(UKIP)などから議席を奪い、第1党となった。

一方の労働党は、集中的な選挙キャンペーンにもかかわらず、わずかな数しか議席を伸ばせず。コービン党首は党内での反ユダヤ主義をコントロールできていないとして批判されており、単独選挙区としてはユダヤ人の住民数が最大であるロンドンのバーネット区は保守党が優位となった。

2016年の国民投票で善戦したUKIPは今回、指導者を巡る問題から議席数を大幅に減らした。

[ロンドン 4日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

フジHD、株式買い増しはTOBでと旧村上系から通知

ワールド

北京市、住宅購入規制さらに緩和 需要喚起へ

ビジネス

26年度の超長期国債17年ぶり水準に減額、10年債

ワールド

フランス、米を非難 ブルトン元欧州委員へのビザ発給
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中