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朝鮮半島

アメリカの「裏方」をアピールする南北朝鮮の本心は?

2018年4月26日(木)16時00分
前川祐補(本誌記者)

非核化に時間がかかるとなれば、国連の制裁解除も段階的なものになる。となれば、北は韓国に援助を求めるだろう。韓国は国連の制裁とは別に独自の制裁を北朝鮮に科している。なかでも制裁前の水準のコメ支援が再開されれば、平壌首都圏の軍や党幹部の胃袋を安定的に満たすことができるとみられている。

一方、韓国にとっても制裁で禁じている開城工業団地の操業が再開すれば、統一に向けた国内の不安を緩和できる。韓国の若者世代では統一した際の韓国の経済負担を嫌う声が強いが、北朝鮮経済に自力を付ける機会を与えればこうした不満を緩和できる。

北朝鮮の態度の軟化は金の時間稼ぎだとする指摘は多いが、時間が欲しいのは文も同じだ。その間に南北間の経済活動が活発になれば、統一の青写真は単なる青写真でなくなる。

トランプを目先の栄誉に浴させておけば統一戦略で主導権を握れる――。南北が目指すのは、「脇役」の下剋上かもしれない。

本誌2018年5月1&8日号掲載

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