最新記事

マクドナルドも熱い視線送る「昆虫農場」 世界のタンパク質危機を救うか

2018年4月24日(火)18時19分

グローバルな人口増加と中間層の拡大により、1人あたりの肉消費量は過去40年間で50%増大し、タンパク質危機の懸念が増大した。必須の主要栄養素であるタンパク質の従来の供給源は、グローバルな気候変動と、条播(じょうは)作物農業と商業漁業が環境に与える影響が懸念されるなかで、ますます信頼性が低下している。

カーギルの動物栄養事業の戦略・テクノロジー部門を率いるベノイト・アンクティル氏は、新たなタンパク源の開発を「長期的な機会」と呼ぶ。

「持続可能なタンパク源は重要な課題であり、だからこそカーギルでも、世界的な栄養供給ソリューションの一環として昆虫の有効性を評価しつつある」とアンクティル氏は言う。

生活水準が向上していくと、食生活が穀物・植物中心から肉中心の食事へと変化していく。問題は、食肉需要が拡大する場合、飼料の生産はそれを上回るペースで成長する必要がある、という点である。1ポンドの鶏肉を生産するには、通常約2ポンドの飼料が必要になる。豚肉の場合は4ポンド必要だ。

数十年にわたって畜産・家禽用飼料の基礎となっていた大豆の増産は長期的なソリューションにはならない。森林消失と強力な農薬の過剰使用を促してしまうからだ。

さらに、天然の魚介類や魚介副産物から製造される水産養殖飼料である魚粉の供給も、気候サイクルや乱獲、さらには乱獲防止の規制によって大きく変動する。

栄養学者や科学者は、持続可能で低コストのタンパク源として人間の昆虫消費を提唱してきた。だが、多くの国・文化の人々にとって、虫を食べるというのは耐えがたい発想である。しかし、食物連鎖のもっと下位の部分で昆虫由来のタンパク質を導入するのであれば、より受け入れやすい。

昆虫養殖事業は、まだいくつかのハードルを越えなければならない。たとえば、動物に飼料として与えることに対してさえ嫌悪感が見られる。また、粉末化した昆虫を用いることで食品供給に新たな有毒物質が入り込まないことを規制当局に納得させる必要がある。

シアトル・タコマ空港に近い車体修理工場の上でミールワーム(ゴミムシダマシ科甲虫の幼虫)の養殖を行っているベータ・ハッチのバージニア・エメリー最高経営責任者(CEO)は、「食品システムのなかで、虫は汚物と考えられている」と話す。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

再送フーシ派がイスラエル攻撃、イエメンの親イラン武

ワールド

再送-UAEのアブダビで5人負傷、火災も発生 ミサ

ワールド

タイ新政権、来週発足へ アヌティン首相が表明 

ビジネス

中国の大手国有銀3行、25年の利益ほぼ横ばい 不動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?...「単なるホラー作品とは違う」「あの大作も顔負け」
  • 2
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度を決める重要な要素とは?
  • 3
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のSNS動画が拡散、動物園で一体何が?
  • 4
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 5
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 6
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 7
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 8
    ウィリアム皇太子が軍服姿で部隊訪問...「前線任務」…
  • 9
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 10
    「酷すぎる...」ショッピングモールのゴミ箱で「まさ…
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 4
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 9
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 10
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中