最新記事

ホワイトハウス

トランプ政権、議員との協議公開で政治をリアリティー番組化

2018年3月6日(火)11時32分

3月1日、米首都ワシントンが、テレビのリアリティー番組化している。写真中央右はトランプ大統領。ワシントンで撮影(2018年 ロイター/Kevin Lamarque)

米首都ワシントンが、テレビのリアリティー番組化している。トランプ大統領は、ホワイトハウスにテレビカメラを入れ、通常は非公開で行われて激しい議論が交わされる議員たちとの会合を公開している。

だが、政策はその場の状況に応じて決定されるようだ。

トランプ大統領の知的な鋭さを疑問視する批判に反論するかのように、そのような会合は、大統領が問題に関心を抱き、積極的に関与しているかのように見せている。だが政策を進める上で、ほとんど効果はない。

実際の成果はほとんど見られないにもかかわらず、そうした会合に出席し続ける民主党議員らは、会合が14シーズン続いたトランプ氏の番組「アプレンティス」の単なる焼き直しではないかという疑念を強めている。

「話し合うことはいいことだが、まるで大統領のショーのようだ」と、貿易についてトランプ大統領と協議した民主党のシェロッド・ブラウン上院議員はロイターに語った。

「問題なのは、大統領が皆の言うことに何でも同意していたことだ。われわれが反対のことを述べることがあっても、だ」と同議員は明かす。

2月28日に行われた銃規制に関する会合では、トランプ大統領は活発な協議を取り仕切り、共和党議員が通常支持する以上に厳格な銃規制を支持した。

では、それが何かに発展するのだろうか。

移民に関する似たような会合に出席したというディック・ダービン民主党上院議員は、次のように警告する。「私からのアドバイスは、最善の結果を期待する、ということだ。48時間以内に大統領が考えを変えても驚いてはいけない」と、ダービン議員は28日、記者団にこう述べた。

トランプ氏に近い人物らによると、そのような会合を公開することにより、国民に直接メッセージを届け、共和・民主両党の議員らと、彼のスタイルの違いを際立たせることができるという。

「彼はリアリティー番組を15年もやってきた。番組では、自身のビジネス活動のあらゆる面を見せることもしてきた」と、トランプ氏の友人であるクリス・ラディ氏は言う。「素晴らしい。キャストに米上院議員を連ねるとは」

とはいえ、そうしたキャストたちは、カメラが回り、それが自身の行動にどう影響するかを認識している。

共和党の戦略担当チャーリー・ブラック氏は、協議か公開されることについて、「ニュースをつくるには有効なやり方だが、政策を交渉するにはそうとは言えない」と指摘。テレビで生放送される場合、参加者は真剣に交渉することを避けようとすると同氏は付け加えた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個

ワールド

「トランプ氏と喜んで討議」、バイデン氏が討論会に意
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中