最新記事

子ども

モバイル端末の日常的な利用で、鉛筆を握れない子どもが増えている

2018年3月1日(木)17時20分
松岡由希子

鉛筆を握れない子どもが増えている kali9-iStock

<モバイル端末の画面のスワイプはできても、ペンや鉛筆をうまく握ることのできない子どもが増えている...>

モバイル端末やパソコンの普及に伴い、手書きの機会が減るようになって久しい。文化庁の2014年度「国語に関する世論調査」では、9割以上が「文字を手書きする習慣をこれからの時代も大切にするべきであると思う」と回答者する一方で、「日常生活において文字を手書きする機会がある」という回答者の割合は7割程度にとどまっている。

鉛筆を握ることのできない子どもが増えている...

もちろん、モバイル端末に日常的に触れているのは、私たち大人だけではない。米フィラデルフィアに在住する生後6ヶ月から4歳までの350名に調査したところ、96.6%の子どもがモバイル端末を利用しており、そのほとんどは1歳未満の頃から使い始めていることがわかっている。

スマートフォンやタブレット端末のタッチスクリーン機能を幼児期から日常的に操作することで、弊害も現れ始めている。モバイル端末の画面のスワイプはできても、手の力や敏捷性に乏しく、ペンや鉛筆をうまく握ることのできない子どもが少なからずいるのだ。

英紙ガーディアンの取材に対し、小児作業療法士のサリー・ペイン氏は、「今の子どもたちは、10年前に比べて、手の力や敏捷性に乏しい。基礎的な運動スキルがないため、小学校に入り、鉛筆を与えられても、握ることのできない子どもが増えている。」と述べている。

鉛筆の持ち方の巧拙は、それほど問題ではない。加トロントの小学4年生120名を対象に、6種類の鉛筆の持ち方と手書きの読みやすさやスピードとの関連性を調査したところ、鉛筆の持ち方が読みやすさやスピードに明らかな影響を与えているとは認められなかった。


初等教育で手書きスキルの学習を改めて重視する動き

鉛筆を正しく握るために必要となるのが、指の筋肉をコントロールする力だ。ブロック遊びや工作、お絵描きなどの遊びを通じて自然と養うことができるものだが、デジタル端末をスワイプしたり、タップしたりする動きでは、これを鍛えることはできない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベラルーシ大統領、米との関係修復に意欲 ロシアとの

ビジネス

ECBが金利据え置き、4会合連続 インフレ見通し一

ワールド

ロシア中銀、欧州の銀行も提訴の構え 凍結資産利用を

ビジネス

英中銀、5対4の僅差で0.25%利下げ決定 今後の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 2
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 6
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 7
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 8
    円安と円高、日本経済に有利なのはどっち?
  • 9
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 10
    欧米諸国とは全く様相が異なる、日本・韓国の男女別…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中