最新記事

米朝関係

トランプ大統領、北朝鮮の金正恩と5月までに会談する意向=韓国特使

2018年3月9日(金)14時45分

3月8日、韓国特使として訪米中の鄭義溶・大統領府国家安全保障室長は、トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の申し出に応じ、5月までに初会談を行う。ホワイトハウスで発表する同室長(2018年 ロイター/Leah Millis)

韓国特使として訪米中の鄭義溶・大統領府国家安全保障室長は8日、トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の申し出に応じ、5月までに初会談を行う意向を示したことを明らかにした。

鄭室長と徐薫・国家情報院長を含む韓国の特使団は今週5日に北朝鮮で金委員長と会談。鄭氏は8日、金委員長が会談で、非核化にコミットし、核・ミサイル実験を今後控える方針を表明したと語った。

鄭氏らはこの日、北朝鮮側との協議内容について説明するため、ホワイトハウスでトランプ大統領と会談した。

鄭氏は会談後、「金委員長が非核化にコミットしていると述べたとトランプ大統領に伝えた」とし、「金委員長は、北朝鮮は今後、核・ミサイル実験を手控えると表明した」と述べた。

同氏はまた、「金委員長はできるだけ早期にトランプ大統領と会談することを強く希望していた」とした上で、「(説明を受けた)トランプ大統領は非核化の実現に向けて5月までに金委員長と会談すると語った」と明らかにした。

昨年激しい非難合戦を展開した米朝首脳がともに会談に前向きな姿勢を示したことで、両国の関係が今後、劇的に変化する可能性が浮上している。ただ、北朝鮮が過去に国際社会との約束を破り、米国の歴代政権が北朝鮮の非核化への取り組みにことごとく失敗してきた歴史を踏まえ、トランプ政権幹部は北朝鮮の提案に慎重な姿勢を崩していない。

鄭氏はまた、金委員長は「定例の米韓合同軍事演習を継続する必要性を理解している」と発言。合同軍事演習の中止を繰り返し要求してきた北朝鮮が譲歩した格好となった。

ホワイトハウスのサンダース報道官は8日、トランプ大統領は金委員長からの会談の申し出を受け入れると発表。会談の場所や日時は未定としている。

報道官は声明で、トランプ大統領は韓国の特使団と文大統領に感謝しているとした上で、金委員長からの会談の申し出を受け入れると表明。「われわれは北朝鮮の非核化を期待している。その一方で、(北朝鮮に対して)すべての制裁と最大限の圧力を続ける必要がある」とした。

トランプ大統領は8日夜、ツイッターに「金委員長が韓国側との協議で、核の凍結ではなく非核化に言及した」と投稿。また「この(対話の)期間中は、北朝鮮はミサイル発射実験を行わないとも表明している。(北朝鮮との交渉は)大いに進展しているが、合意に至るまで制裁は継続される。(首脳)会談が計画されている」と明らかにした。

9日のアジア株式市場は、米朝が初会談を行う意向を示したことをおおむね好感。韓国の主要株価指数<.KS11>は一時1.8%上昇し、5月以来となる大幅高を記録した。

米朝会談の可能性、評価まちまち

アフリカ訪問中のティラーソン米国務長官は、北朝鮮と「対話についての対話」は可能かもしれないが、非核化交渉はまだ先と語った。

一方、共和党のリンゼー・グラム上院議員は、トランプ大統領は北朝鮮に厳しいスタンスで臨んでおり、問題解決が期待できると強調。

グラム上院議員は、ツイッターに「金委員長ができる最悪のことは、トランプ米大統領と直接会って、手玉に取ろうとすることだ。そんなことをすれば、金委員長、並びに体制の終わりだ」などと投稿した。



[ソウル/ワシントン 9日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ノバルティスとロシュ、トランプ政権の薬価引き下げに

ビジネス

中国の鉄鋼輸出許可制、貿易摩擦を抑制へ=政府系業界

ワールド

アングル:米援助削減で揺らぐ命綱、ケニアの子どもの

ワールド

訂正-中国、簡素化した新たなレアアース輸出許可を付
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 7
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中