最新記事

韓国人の本音

平昌五輪、前半戦の勝者は韓国「文在寅」大統領だ

2018年2月21日(水)17時13分
ラモン・パチェコ・パルド(ロンドン大学キングズ・カレッジ・ロンドン・アジア太平洋社会科学センター)

安倍晋三首相は北朝鮮に対する「最大限の圧力」を維持し、大会終了後の米韓合同軍事演習の確実な実施を呼び掛けたが、ほとんど注目されなかった。開会式に招かれた各国賓客の記念写真にも写っていなかった。あの開会式で、日本とアメリカの影は薄かった。

かくして韓国政府は、ついに南北関係で主導権を握った。いつもアメリカや北朝鮮、あるいは中国に振り回されていると感じてきた韓国民にとってはとても重要なことだ。

とにかく文政権は北に和解の手を差し伸べた。今度は北が、次の一手を考えなければならない。北は平壌での首脳会談を持ち出したが、その話に乗るか乗らないかは、文が北の出方を見てから決めればいい。

アメリカは、南北の緊張緩和や対話ムードの醸成に異を唱える立場にはない。中国も、南北対話の再開は歓迎するだろう。

近年、中国政府には北朝鮮に対する影響力がほとんどないことが明らかになっている。習近平(シー・チンピン)政権は、文の和解外交が金正恩に一層の影響を与えることを望んでいる。

内政面でも、文政権は平昌五輪の成功で、その対北朝鮮政策の正しさを立証したことになり、今後も関与の拡大と対話の継続に努めるだろう。韓国民は南北関係の現状に閉塞感を抱いており、北の政権を信用していない。しかし文は選挙戦で北朝鮮への積極的関与を訴えて大統領になった。そして(一時的に支持率が下がったとはいえ)今も十分な支持を得ている。

五輪外交での勝利をきっかけに、韓国が朝鮮半島情勢の舵を取る時代が来るかもしれない。成功の保証はどこにもないが、平昌で開いた対話の窓を、文が閉じることはないだろう。

From thediplomat.com

180227cover-150.jpg<ニューズウィーク日本版2月20日発売号(2018年2月27日号)は「韓国人の本音」特集。平昌五輪を舞台に北朝鮮が「融和外交」攻勢を仕掛けているが、南北融和と統一を当の韓国人はどう考えているのか。この記事は特集より>

【参考記事】韓国の一般市民はどう思ってる? 平昌五輪「南北和解」の本音

【お知らせ】
ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮情勢から英国ロイヤルファミリーの話題まで
世界の動きをウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は反発、過度な中東懸念が緩和 残る不透明感

ワールド

韓国年金、ウォン安受け為替ヘッジ 17年ぶり安値で

ワールド

米国などからの原油輸入、日本到着は最短6月 石油連

ビジネス

EXCLUSIVE米アマゾン、バーレーン地域でクラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 2
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 3
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」した──イスラエル首相
  • 4
    「胸元を強調しすぎ...」 米セレブ、「目のやり場に…
  • 5
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 6
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 7
    スウェーデン次期女王ヴィクトリア皇太子、陸軍訓練…
  • 8
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 9
    「買ったら高いじゃん?」アカデミー賞会場のゴミ箱…
  • 10
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記…
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中