最新記事

「死のない肉」クォーンが急成長 人工肉市場がアツい

2018年2月13日(火)19時15分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

アメリカでは有害反応情報が集められた

2001年にクォーンはアメリカにも進出した。しかしこの時には米キノコ研究所(American Mushroom Institute)がフザリウム・ベネナタムはキノコでないと反発するなど、順風満帆なスタートではなかった。食の安全を訴えるある団体は、クォーンに起因して、吐き気、嘔吐、下痢、蕁麻疹、時には呼吸困難などの危険なアレルギー反応があったと主張している。

もちろんクォーン側はこれを否定。「当社は30年にわたって約4億個のクォーンを販売しており、記録から優れた安全性を持つことが分かっている」とケビン・ブレナンCEOは説明する。「どの症状も非常に稀で、おそらく15万分の1の割合」で、ジャガイモも同じようなものだと言う。

健康被害で大きな騒ぎはなかったが、アメリカではクォーンの原料をキノコだと思い込んで購入した消費者が騙されたと主張し集団訴訟を起こした。簡単には「キノコ」が原料と説明されるが、キノコとカビの線引きがあやふやだったことが原因とみられる。すでに和解はしているが、クォーン側は自身の不正行為を認めるものではないと強調する。ただ、この一件以来、アメリカで販売されるパッケージには「マイクロプロテインはカビ(真菌の一種)です」と書かれ、イギリスでも同様の文言が添えられるようになった。

人工肉が「本物」になる日も近い?

アメリカ全土で展開する「インポッシブル・バーガー」は、クォーン以上に肉感を追求した人工肉を使ったハンバーガーで人気のレストランだ。植物だけで作られた「死のない肉」のパティがここまで肉々しいのは、SLH(レグヘモグロビン)がカギで、同社はこの成分が血の滴る肉のような味と色を再現してくれると話す。

米食品医薬品局(FDA)は2015年8月にSLHについて「消費のための安全性を確立するには十分ではない」との見解を示している。それでも有害なことが明示されたわけではないため、インポッシブル・バーガーの販売は続いている。

2018年初めには、イギリスの食卓に並ぶ食品の半分以上が「超加工」されていると報告された。家庭料理は工業用添加物と不透明でハイテクな食品で成り立っているという。人工肉が「本物の肉」に取って代わる未来はすぐそこまで来ているかもしれない。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

インフレ緩和なら追加利下げの可能性=フィラデルフィ

ビジネス

規制緩和がインフレ押し下げへ、利下げを正当化=ミラ

ワールド

米最高裁、トランプ関税の合憲性判断示さず 次回判決

ビジネス

目先利下げ不要、超党派のFRB独立支持に安堵=ミネ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広がる波紋、その「衝撃の価格」とは?
  • 2
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 5
    飛行機内で「マナー最悪」の乗客を撮影...SNS投稿が…
  • 6
    鉛筆やフォークを持てない、1人でトイレにも行けない…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    宇宙に満ちる謎の物質、ダークマター...その正体のカ…
  • 9
    年始早々軍事介入を行ったトランプ...強硬な外交で支…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 6
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 9
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 10
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中