最新記事

ビットコイン

仮想通貨、現金やクレジットカードの対抗手段として台頭せず=NY連銀エコノミスト

2018年2月10日(土)10時07分

2月9日、NY連銀のエコノミストは、ビットコインなどの仮想通貨は米国やその他の主要国でこれまでのところ、支払い手段としての現金、小切手、クレジットカードに対する強力な対抗手段として台頭していないとする見解を示した。写真は2015年5月、パリで(2018年 ロイター/Benoit Tessier)

米ニューヨーク(NY)連銀のエコノミストは9日、ビットコインなどの仮想通貨は米国やその他の主要国でこれまでのところ、支払い手段としての現金、小切手、クレジットカードに対する強力な対抗手段として台頭していないとする見解を示した。

NY連銀のエコノミスト、マイケル・リー氏とアントワーヌ・マーティン氏はブログポストで、通常の支払い手段に対する疑念が高まっている時に仮想通貨が代替手段として利用されることが多いと指摘。

2015年にギリシャが債務問題で苦しんでいた際、資本規制の導入やユーロ圏離脱の懸念から同国でビットコイン取引が急増したことを例に挙げ、「信用が阻害された環境下で支払いを行う際、仮想通貨が問題解決の一助となることに議論の余地はない。ただ、少なくとも米国、および他の先進国でこれが解決が必要な問題であるとは言えない」とした。

また、ビットコイン、イーサリアム、リップルなどの仮想通貨は、利用が拡大しているものの欠点があると指摘。ビットコインについてはボラティリティーが過度に高いため、中央銀行が監督する従来の通貨が持つ価値貯蔵手段としての機能は阻害されているとし、ビットコイン取引には大量の電力が必要となるほか、取引の有効化にも時間がかかるとの認識を示した。

両エコノミストが引用した仮想通貨関連のブログサイト、デジコノミストの統計によると、ビットコイン取引に使用される電力は現時点で年間48テラワット時と、米国の440万戸の住宅の消費電力に相当する。

両エコノミストは、機関に対する信用が完全に失われた際の支払い手段として設計されたものが、信用が必要とされるところで利便性を持つかは疑問だとし、「すべての価格がビットコインで表示された場合、物価や経済活動が大きく振れる公算が大きい」とした。



[ニューヨーク 9日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英住宅ローン融資、3月は4年ぶり大幅増 優遇税制の

ビジネス

LSEG、第1四半期収益は予想上回る 市場部門が好

ワールド

鉱物資源協定、ウクライナは米支援に国富削るとメドベ

ワールド

米、中国に関税交渉を打診 国営メディア報道
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中