最新記事

為替

円高急伸106円台 世界的な株価急落に動揺した投機筋がリスク圧縮へ

2018年2月14日(水)18時15分

2月14日、外国為替市場で対ドルの円相場が106円台へ急伸した。最近の世界的な株価急落で一段の市場変動リスクに過敏になった参加者が、昨年来積み上げてきた大規模な円の売り仕掛けを縮小し始めたことが主導しているもようだ。写真は昨年6月撮影(2018年 ロイター/Thomas White)

14日の外国為替市場で対ドルの円相場が106円台へ急伸した。最近の世界的な株価急落で一段の市場変動リスクに過敏になった参加者が、昨年来積み上げてきた大規模な円の売り仕掛けを縮小し始めたことが主導しているもようだ。ドルの先安観が強いため、ドルの下値でも個人など国内勢の押し目買いが入りづらく、さらなる円高観測を醸成している。

春節休暇中の市場動揺を警戒か

ドルはこの日、一時106.84円まで下落。当面の下値めどだった昨年安値をあっけなく下抜け、2016年11月14日以来、1年3カ月ぶり円高水準をつけた。テクニカル的には105円台まで主要な節目がない状況で、市場では一段安の可能性を警戒する声が上がっている。

市場筋によると、ここ数日の円高局面で動きが目立ったのはアジア勢。米国株をはじめとして世界的に市場が不安定化する中、中国の春節(旧正月)休暇を前に、しばらく市場を離れる投機筋が、円売りや米国債売りなどの持ち高を手じまう調整売買を加速させているという。

1月は日銀の国債買いオペ減額をきっかけとする思惑が海外勢に広がって上昇圧力がかかった円相場だが、実は世界の投機筋の持ち高は、昨年来大幅な売り越しだ。

米商品先物取引委員会(CFTC)が毎週集計しているIMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組状況によると、円は16年末の米大統領選後から売り越しへ転じたまま。しかも、安倍首相が解散・総選挙に踏み切った後の昨年11月には4年ぶり高水準まで膨らんでいた。

その巨額な円売りポジションを抱える投機筋が「最近の世界的な株価急落に動揺し、とにかくリスク量を落とそうと、様々な保有ポジションを圧縮している」(外銀幹部)のだという。

実際、為替市場では米国株が急落を始めた今月2日以降、英ポンドやユーロなど最近買われていた通貨の売り戻しも目立つ。IMMによると、そのユーロの買い持ちは過去最大規模で、ポンド買いも3年半ぶり高水準だった。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米ISM製造業景気指数、4月48.7 関税の影響で

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任へ=関係筋

ビジネス

物言う株主サード・ポイント、USスチール株保有 日

ビジネス

マクドナルド、世界の四半期既存店売上高が予想外の減
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中