わが家のアレクサが勝手に広告を読み上げ始める日

「紅茶に入れるミルクが欲しい!」と言えば、アレクサからお薦めブランドを紹介されるかも Amazon.com. Inc.
<スマートスピーカーが注文を受けるだけでなく、おすすめの商品やサービスを提案する時代はすぐそこに>
アマゾン・ドットコムの人工知能(AI)アシスタント、アレクサが広告を読み上げる――そんな日が今年中にも来るかもしれない。
経済専門チャンネルCNBCの報道によれば、アマゾンは既に家庭用品大手のクロロックスやプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)をはじめ、複数の企業とアレクサでの商品広告について協議中だという。
CNBCはさらに、アマゾンが早ければ年内にも広告配信を始める可能性があると伝えた。ただし同社の広報担当は、そうした「計画」はないと否定している。
今のところアレクサでは、毎日更新されるフラッシュニュースの合間などを除いて、ほとんど広告は挿入されていない。そもそも広告メッセージの代読だらけだったら、ここまで多くの消費者に受け入れられなかっただろう。しかし、アレクサは既に1500万世帯に導入されている。これだけアレクサを愛する人がいるのなら、こっそり広告を紛れ込ませて一稼ぎしたくなるのも無理はない。
もちろん、テレビCMのように騒々しい広告にはなるまい。もっとさりげなく、しかもターゲットを絞った広告になるだろう。例えば「A社の洗剤が切れたから再注文して」と呼び掛けた場合に、同じ会社の新製品を薦めてくるとか。あるいは染み抜きの方法を尋ねたときに、関連する便利グッズの購入を勧めるとか。ユーザーの購入履歴を精査して(いつもアマゾンがやっていることだ)最適な広告や商品を語り掛けるケースも考えられるだろう。
現状では、音声認識端末アマゾン・エコーで広告を流す場合はアレクサの声とは別の声音やトーンを使う決まりになっている。どれがアレクサの返事でどれが広告かを、ユーザーが区別できるようにするためだ。
今後もそうなのか、アレクサの声で広告を読み上げるようになるのかは分からない。いずれにせよ、うまくいけばアレクサに統合された広告は私たちの購買意欲を大いにそそり、一段と私たちの財布のヒモを緩めさせることになる。
微妙なバランスが必要に
しかしアマゾンとしても、広告やスポンサー企業の販促メッセージを投入するタイミングや方法は慎重に判断したほうがいい。広告や商品購入の提案があまりに頻繁だと、アマゾン・エコーの持ち主たちの反発を買うことになるだろう。広告や購入履歴に基づく「おすすめ」の商品があまりに的外れでも、ユーザーに見放されてしまう。
伝えられるところでは、アマゾンも(少なくとも当初は)日用品や、それらの商品を頻繁に購入しているユーザー(つまり予測しやすい絞られたターゲット)を選んで広告投入の対象とするようだ。
そうだとしても微妙なバランスの維持が必要になる。アレクサの語る広告は、画面表示の広告よりも押し付けがましい印象になる可能性があるからだ。