最新記事

北朝鮮

仮想通貨モネロ、北朝鮮の大学に流入か

2018年1月9日(火)13時11分

1月8日、米国に拠点を置くサイバーセキュリティー会社エイリアンボルトは、仮想通貨「モネロ」の採掘コードをインストールし、採掘した通貨を北朝鮮の大学のサーバーに送る仕組みのソフトウエアを発見したと明らかにした。写真はモネロのロゴ。シンガポールで撮影(2018年 ロイター/Thomas WhiteIllustration)

米国に拠点を置くサイバーセキュリティー会社エイリアンボルトは、仮想通貨「モネロ」の採掘コードをインストールし、採掘した通貨を北朝鮮の大学のサーバーに送る仕組みのソフトウエアを発見したと明らかにした。

専門家は、国際社会の制裁下で新たな資金調達源を模索する北朝鮮にとって、仮想通貨は最善の外貨獲得手段だとみている。

このソフトの仕組みを調べたエイリアンボルトによると、ソフトは昨年12月24日に生み出されたもの。モネロの採掘にホストコンピューターを利用した上で、採掘した通貨を平壌にある金日成総合大学に送るという。

同社は発表文書で「仮想通貨は制裁で深刻な打撃を受けた北朝鮮に資金面のライフラインを提供している可能性があり、その結果として、平壌にある複数の大学が仮想通貨に明らかな関心を示した」と分析。今回発見したソフトについては「彼らが取り組んだ最も新しい製品かもしれない」との見方を示した。

同社は、仮想通貨の採掘に使われる北朝鮮のサーバーはインターネットに接続していないとみられると指摘。オブザーバーに北朝鮮との関連を気づかせない意図がある可能性を警告した。

金日成総合大学はコメントの求めに応じていない。北朝鮮の国連代表部からもコメントは得られていない。

仮想通貨の価格サイト、コインマーケットキャップによると、モネロの時価総額は約70億ドルで世界第13位。

モネロの取引では、資金が支払いごとに発行される乱数で構成されたリンク不可能なワンタイムアドレスに送られるため、追跡されにくい。この特徴が、匿名性を重視する利用者にはビットコインよりも魅力的に映ると専門家はみている。

韓国のサイバーセキュリティー会社ESTセキュリティーのチーフアナリスト、Mun Chong-hyun氏は「国際社会の制裁下にある北朝鮮にとって、仮想通貨は現状で最善の外貨獲得手段だ。仮想通貨は追跡されにくく、複数回にわたるロンダリング(資金洗浄)が可能だ」と指摘した。

[ソウル 8日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


ニューズウィーク日本版のおすすめ記事をLINEでチェック!

linecampaign.png

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米国は「経済的大惨事」に、関税違憲判断なら トラン

ワールド

ウクライナ当局、国営原子力企業が絡む大規模汚職捜査

ビジネス

NY外為市場=円下落・豪ドル上昇、米政府再開期待で

ワールド

再送-〔マクロスコープ〕高市氏、経済対策で日銀に「
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一撃」は、キケの一言から生まれた
  • 2
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    中年男性と若い女性が「スタバの限定カップ」を取り…
  • 7
    インスタントラーメンが脳に悪影響? 米研究が示す「…
  • 8
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 9
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 10
    「爆発の瞬間、炎の中に消えた」...UPS機墜落映像が…
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中